化学メーカーの東ソー(4042)。業績は伸び悩み長期で株価が下落していましたが、ここにきてやや上昇しています。果たして今後の東ソーの株価と配当はどうなるのか。業績推移・株価チャート・配当推移を分析してみました。
- 配当利回りは高めだが増配する可能性は低い
- 割安感があるが業績の先行き不透明感は強い
- やや株価が上昇しているが連続減収・減益で推移
東ソーの事業内容と株価指標
はじめに東ソーの事業内容と株価指標を確認していきます。
株価指標と配当利回り
株価:1,754円
予定年間配当:56円
年間配当利回り:3.19%
予想PER:14.7倍
PBR:0.94倍
2020年12月11日終値時点のデータ
指標は化学銘柄と考えるとよくある水準です。年間の配当利回りは高いです。
東ソー(4042)とは
東ソーは苛性ソーダ、塩化ビニルモノマー(VCM)、ポリウレタンといった「ビニル・イソシアネート・チェーン」事業に加え、石油化学事業(オレフィン、ポリエチレン、合成ゴム等)や機能商品事業(無機・有機ファイン製品、計測・診断製品、スパッタリングターゲット、電解二酸化マンガン、ジルコニアセラミックス、石英ガラスなど)をコアとして事業展開を行っている。
東ソー – Wikipediaより抜粋
身近にあるものの中にも東ソーの製品が組み込まれているものはたくさんあります。様々な製品の素材として利用されています。
東ソーの業績推移と株価チャート
次に東ソーの業績推移と株価チャートの推移を確認していきます。
売上高と経常利益の推移

2018年3月期は過去最高益でしたが、それ以降は減収・減益が続いています。2021年3月期の業績予想も厳しい見通しです。
株価チャートの推移
下記は東ソー5年分の週足株価チャートの推移です。

株価は2018年に入り、先の業績見通しに不安が広がった時期から下落しています。何度か持ち直し上昇する気配がありましたが上昇しきれていないです。現在は底値から抜け出しやや上昇していますが一旦の上値メド水準でもみ合っています。
現在の株価を抜けて上昇すると更に上昇する可能性がありますが、業績見通しの厳しさ・過去の株価を考えると強めの材料が必要と考えられます。
東ソーの配当推移と決算について
次に東ソーの配当推移と決算内容を確認していきます。
配当金の推移
下記は東ソーの配当推移です。年2回、中間配当(9月)と期末配当(3月)を実施しています。金額は株式併合を考慮した金額です。

2016年3月期:28円
2017年3月期:48円
2018年3月期:56円
2019年3月期:56円
2020年3月期:56円
2021年3月期:56円(予)
配当は年間56円で据え置きです。
株主還元の基本方針として「利益還元を重要な資本政策の一つと位置づけ、継続的かつ安定的な配当を行うこととし中期の経営計画では配当性向30%程度を目安」としています。2020年3月期の配当性向は32.7%、2021年3月期の予想配当性向は約47%です。やや配当性向が高く今後、減配する可能性もあります。
参考:配当情報|東ソー株式会社
決算内容の確認
2020年10月30日の決算にて2021年3月期2Q累計(4-9月)の連結経常利益は179億円と発表、あわせて通期の業績予想は同利益が610億円見通しとしています。
東ソーの今後の株価について
最後に東ソーの今後の株価について考えてみます。
今後について
割安感があり、配当利回りがやや高め。それに加えて2021年3月期の上期が予想に対して上振れた事などもありやや株価は上昇し安定しています。
しかし、中国経済の減速をはじめ、世界経済の停滞や為替の円高・原料高などから今後の経営環境は不透明な部分が多いです。これは国外に事業展開している多くの企業に言えることです。