炭素繊維で世界トップの東レ(3402)。減益が続いたことで減配当予定としています。株価も下落しており厳しい状況です。果たして今後の株価と配当はどうなるのか。業績推移・株価チャート・配当推移を分析してみました。
- 株価は安いが減配により配当利回りは低下
- 株価は中長期で大きく下落推移
- 業績悪化しているが技術力は確かなものがある
東レの事業内容と株価指標
はじめに東レの事業内容と株価指標を確認していきます。
株価指標と配当利回り
株価:583.8円
予定年間配当:9円
年間配当利回り:1.54%
予想PER:27.5倍
PBR:0.84倍
2020年11月26日終値時点のデータ
減配当により年間配当利回りは平均より低めです。
東レ(3402)とは
東レ株式会社(とうレ、英称:Toray Industries, Inc.)は、合成繊維・合成樹脂をはじめとする化学製品や情報関連素材を取り扱う大手化学企業。三井グループの中核企業の一つとしてその名を知られており、コーポレート・スローガンは、「Innovation by Chemistry」(化学による革新と創造)。社名にあるレは再生繊維のレーヨンを意味する(旧社名:東洋レーヨン)が、同社は現在、レーヨンの生産は行っていない。
東レ – Wikipediaより抜粋
主要事業は「繊維」、「機能化成品」、「炭素繊維複合材料」、「環境・エンジニアリング」、「ライフサイエンス」です。構成比としては低いですが、炭素繊維複合材料は飛行機のボーイングにも利用されるなど世界最大級です。
参考:早わかり東レ|TORAY
東レの業績推移と配当推移
次に東レの業績推移と配当推移を確認していきます。
売上高・経常利益の推移

利益は連続減益で厳しく、2021年3月期も減収・減益見通しで厳しい推移です。
配当金の推移
下記は東レの配当金の推移です。年2回、中間配当(9月)と期末配当(3月)を実施しています。

2016年3月期:13円
2017年3月期:14円
2018年3月期:15円
2019年3月期:16円
2020年3月期:16円
2021年3月期:9円(予)
2021年3月期は減配予定です。
配当方針として「必要な内部留保等を総合的に勘案し、適切な配当を行うこと」としています。2020年3月期の配当性向は46%、2021年3月期の予想配当性向は約42%です。減配当により配当性向が下がりますが、それでも過去の水準と比較するとやや高いです。
参考:株主還元|TORAY
東レの株価チャートと決算内容
次に東レの株価チャートと決算内容を確認していきます。
株価チャートの推移
下記は東レ5年分の週足株価チャートの推移です。

中長期でみると株価は下落推移。ここ最近は底値から抜け出していますが、まだ下落した位置です。安い株価ですが以前のような配当の下支えは無いです。
決算内容の確認
2020年11月6日の決算にて2021年3月期2Q累計(4-9月)の連結最終利益は44.6億円と発表、あわせて通期の同利益を400億円から340億円に下方修正しています。
東レの今後の株価について
最後に東レの今後の株価について考えてみました。
今後について
株価は過去と比較してかなり安いです。しかし、減配当により配当の下支えもなくなり、業績も厳しくROEも低下しています。減配していますが、配当性向も過去の水準と比較するとやや高めです。
事業では海外売上比率が約6割あるため、諸外国の景気動向や為替の影響を受けます。気になる点は多いですが、技術力は世界でも有数です。減配当は早めの処置を行ったという見方もできます。
電子情報材料、医薬・医療機器などの需要は今後も見込めます。しっかりと利益が復活すれば配当に還元する可能性が高いため、安い株価で保有できるチャンスという見方もできます。当然ですが、株価が安いというのはそれなりのリスクがあります。