高配当利回りとして取り上げられることが多いJT(日本たばこ産業)(2914)。今後の株価と配当はどうなるのか、業績推移・株価チャート・配当推移を分析してみました。2022年2月に株主優待廃止を発表しています。
- 長期株価は下落もやや持ち直す動き
- 優待廃止で配当重視だが既に高い配当性向
- 安全性とリスクが共存している
JTの株価情報と事業内容について
日本たばこ産業の株価情報と事業内容を見ていきます。
株価指標
株価:2,228円
予想PER:11.11倍
PBR:1.36倍
時価総額:4兆4,560億円
2022年5月2日終値時点のデータです。
最新の株価参考:JT【2914】:Yahoo!ファイナンス
目立った割安感、割高感は無いです。
JT(日本たばこ産業)(2914)とは
日本たばこ産業株式会社(にほんたばこさんぎょう、英語: JAPAN TOBACCO INC.、略称: JT)は、日本たばこ産業株式会社法(JT法)に基づき設置された、たばこ並びに医薬品、食品・飲料を製造・販売する日本の特殊会社。財務省所管。
1985年4月1日に設立され、日本専売公社のタバコ事業を引き継いだ。M&Aなどにより、たばこ事業を世界展開しており、企業別の世界シェアは2018年時点で第4位(8.4%)である。
日本たばこ産業 – Wikipediaより抜粋
「タバコ事業」以外にも「医療事業」、「加工食品事業」も展開しています。
海外たばこ事業をM&Aで拡大しています。
JTの業績推移と株価推移について
日本たばこ産業の業績推移と株価推移を見ていきます。
売上高と営業利益・最終利益の推移

利益はやや厳しい推移です。
主力のタバコ事業は日本国内で販売数が減少する中、海外たばこ事業をM&Aで取得し売り上げを維持しています。
2022年12月期は減収・増益見通しとしています。
株価の推移
下記は日本たばこ産業5年分の週足株価チャートです。

株価は長期でみると下落、過去には下落が止まりそうな気配が何度かありましたが変わらず下落が継続。
2020年4月以降で見ると安値圏でレンジ推移しています。
JTの配当情報と株主優待について
日本たばこ産業の配当情報と株主優待制度を見ていきます。
配当情報
2022年12月期の予定年間配当:150円
予想年間配当利回り:6.73%
配当利回りはかなり高いです。
配当金の推移
下記はJTの配当金推移です。
配当権利日は、6月(中間配当)と12月(期末配当)です。

2017年12月期:140円
2018年12月期:150円
2019年12月期:154円
2020年12月期:154円
2021年12月期:140円
2022年12月期:150円(予)
配当は10年以上減配していませんでしたが、2021年12月期に減配。2022年12月期はやや回復予定としています。
配当性向は2021年12月期が73.4%、2022年12月期の予想が約75%です。
配当方針の確認
経営計画2021にて配当方針を「配当性向75%を目指す」としています。
株主優待について(廃止)
JTの株主優待は「自社グループの商品詰め合わせ」です。
1年以上の継続保有が対象、2022年12月の優待を最後に廃止としています。
所有株式数 | 優待品 |
---|---|
100株以上 200株未満 | 商品詰め合わせ (2,500円相当) |
200株以上 1,000株未満 | 商品詰め合わせ (4,500円相当) |
1,000株以上 2,000株未満 | 商品詰め合わせ (7,000円相当) |
2,000株以上 | 商品詰め合わせ (13,500円相当) |
2022年2月に優待廃止を発表、廃止理由は「公平な利益還元のあり方という観点から、配当等による利益還元に集約」としています。
JTの決算内容と今後について
日本たばこ産業の決算内容の確認と今後について考えてみます。
決算内容を確認
2022年4月28日に決算発表。
2022年12月期1Q(1-3月)の連結税引前利益は1,746億円、連結最終利益は1,241億円と発表。
最終利益は通期計画の3,560億円に対する進捗率が34.9%となりました。
今後について
国内では2020年4月1日から施行された「改正健康増進法」で原則として屋内全面禁煙化するなど、タバコに対し厳しい見方が続いています。
世界的にもタバコに対し厳しい流れが続いており取り巻く環境は厳しいです。
高い配当利回りと配当性向
高い配当利回りと株主優待が株価の下支えとなっていたのもあり、優待廃止発表で株価がやや下落しました。
配当などによる利益還元に集約するとしていますが、既に配当性向は高い水準で推移しています。
「配当が株価の下支え」は逆に言うと「減配当で株価が下がる可能性がある」と言えます。
JT株は安全なのか
JTの筆頭株主は財務大臣です。
以前は発行済み株式の50%近く保有していましたが、現在は33%保有しています(法律でJT株の3分の1以上を政府が保有する事になっています)。
よほどのことがない限り紙くずになる可能性が低い比較的安全な株と言われていますが、100%安全な株は存在しないです。
一昔前、絶対安全な株と言われていた電力会社株が暴落した例もあるので投資に絶対はないです。
しかし、ある意味政府保証がついているという点では他の株に比べて安全と言えそうです。
リスクと伸びしろ
まだまだ売り上げに占める割合は小さいですが医療事業、食品事業は伸びる可能性があります。
また、過去にあったように新たな事業・他事業への参入もあるかもしれません。
もちろん、新規事業はリスクがありますが、成功すれば新たな柱となる可能性もあります。