総合商社の伊藤忠商事(8001)の株価が上昇しています。年間配当利回りは東証1部上場企業の平均と比較すると高めですが、商社銘柄内では決して高いとは言えないです。今回は伊藤忠商事の株価と配当が今後どうなるのか。業績推移・株価チャート・配当推移を分析してみました。
- 配当利回りは平均より高いが商社銘柄内では特別高くはない
- 配当は増配傾向、累進配当方針のため今後も増配する可能性は高い
- 短期的な業績悪化は避けられないが、伸びしろがあるため株価上昇
伊藤忠商事の事業内容と株価指標
はじめに伊藤忠商事の事業内容と株価指標を確認していきます。
株価指標と配当利回り
株価:2,829円
予定年間配当:88円
年間配当利回り:3.11%
予想PER:10.5倍
PBR:1.32倍
2020年11月27日終値時点のデータ
商社銘柄にありがちな株価指標の割安さと年間配当利回りの高さです。商社銘柄は年間利回りが4%を超える銘柄もあるため、ものすごく高いという感じではないです。
伊藤忠商事(8001)とは
伊藤忠商事株式会社(いとうちゅうしょうじ、ITOCHU Corporation)は、みずほグループ(旧第一勧銀グループ)の大手総合商社。日本屈指の巨大総合商社であると共にアジア有数のコングロマリット(異業種複合企業体)でもある。
伊藤忠商事 – Wikipediaより抜粋
伊藤忠商事は傘下にファミリーマートがあります。三菱商事は傘下にローソン、三井物産はセブン&アイ・ホールディングスと親密な関係であることから日本の上位コンビニ3社と商社との関係は深いです。なお、伊藤忠商事はファミリーマートに対しTOBを行い完全子会社化が完了。ファミリーマートは上場廃止となっています。
また、ファミリーマート以外には「Dole」、「EDWIN」など生活消費関連分野の割合が大きいです。
伊藤忠商事の配当推移と業績推移
次に伊藤忠商事の配当金の推移と業績推移を確認していきます。
配当金の推移
下記は伊藤忠商事の配当推移です。年2回、中間配当(9月)と期末配当(3月)を実施しています。

2016年3月期:50円
2017年3月期:55円
2018年3月期:70円
2019年3月期:83円
2020年3月期:85円
2021年3月期:88円(予)
配当は毎年増配しています。
伊藤忠商事は株主還元方針として「将来的に配当性向を30%目途とすべく、段階的な引き上げを実施」しています。2020年3月期の配当性向は25.3%、2021年3月期の予想配当性向は約33%です。
売上高・最終利益の推移

ここ数年の利益は好調に推移しており、2020年3月期は過去最高益を更新しました。2021年3月期は減益見通しです。
伊藤忠商事の株価チャートと決算内容
次に伊藤忠商事の株価チャートと決算内容を確認していきます。
株価チャートの推移
下記は伊藤忠商事5年分の週足株価チャートの推移です。

株価は上昇トレンドで過去最高値を更新しています。2020年に入り一時的に大きく下落しましたが、それ以外では比較的好調な上昇推移です。
決算内容の確認
2020年11月4日の決算にて2021年3月期2Q累計(4-9月)の連結経常利益は2,905億円と発表、前年同期比27.1%減となりました。
伊藤忠商事の今後について
最後に伊藤忠商事の今後について考えてみます。
今後の株価について
他の商社では業績見通しや株価が厳しい企業もありますが、伊藤忠商事は非資源分野が強く、利益の減少が限定的な見通しもあり、株価は最高値を更新しています。配当性向も適正水準で無理な配当を実施しておらず、累進配当を掲げているのはプラスポイントです。
もちろん、総合商社という性質上、国内だけでなく海外でも事業活動を展開しているため、さまざまなリスクを抱えています。また、株価は最高値更新していますが、減益予想で今後の不透明感はあります。