スイス大手医薬品メーカーのロシュ傘下で大きく成長している中外製薬(4519)。業績が大きく伸びたことで長期の株価が上昇しています。しかし、短期で見るとやや下落しています。はたして今後の株価・配当はどうなるのか。業績推移・株価チャート・配当推移を分析してみました。
- 株価指標はかなり割高で配当利回りは低め
- 配当は連続増配中で今後の増配期待値も高め
- 業績はまだまだ伸びる可能性があるが、株価には既にある程度反映済み
中外製薬の事業内容と株価指標
はじめに中外製薬の事業内容と株価指標を確認していきます。
株価指標と配当利回り
株価:5,273円
予定年間配当:60円
年間配当利回り:1.14%
予想PER:—
PBR:8.84倍
2021年2月16日終値時点のデータ
利益予想非開示の為、PERは算出不可。PBRはかなり割高で年間の配当利回りは低めです。
中外製薬(4519)とは
2002年、スイスの大手医薬品メーカー、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ(Fritz Hoffmann-La Roche)との「戦略的アライアンス」に基づきRocheグループ傘下。Rocheグループの創薬品と、旧来の中外製薬のバイオ医薬による開発力、のシナジー効果による開発パイプラインを有す。 なお、実質上ロシュによる買収であるが、永山治CEO・COOは「買収ではなく戦略的提携」と発言。実際に現在も独立経営、および東証一部上場を維持している。
一般大衆薬事業をライオンに営業譲渡するまでの主力商品で著名なものはバルサンや栄養ドリンクのグロモント、中外アルペン、中外胃腸薬等がある。
中外製薬 – Wikipediaより抜粋
中外製薬の医療用医薬品は「がん」「骨・関節」「腎」を中心に構成。抗インフルエンザウイルス剤のタミフルも販売しています。
参考:製品|中外製薬
中外製薬の業績推移と株価チャート
次に中外製薬の業績推移と株価チャートの推移を確認していきます。
売上高・経常利益の推移

2019年12月期は売上・利益ともに大きく上昇。2020年12月期も大きく増収・増益で好調です。2021年12月期の売上は微増見通しです。
株価チャートの推移
下記は中外製薬5年分の週足株価チャートの推移です。

利益の上昇に反応するように株価も大きく上昇。2019年は特に業績が大きく伸びたことで株価もかなり上昇し1年で2倍近く上昇。2020年7月から下落しましたが、2020年11月から再び上昇、2021年に入り下落しています。短期では下落する場面も出ています。
中外製薬の配当推移と決算内容
次に中外製薬の配当金の推移と決算内容を確認していきます。
配当金の推移
下記は中外製薬の配当金の推移です。年2回、中間配当(6月)と期末配当(12月)を実施しています。株式分割後の株数に換算してあります。

2016年12月期:17.33円
2017年12月期:20.67円
2018年12月期:28.67円
2019年12月期:46.67円
2020年12月期:55円
2021年12月期:60円(予)
配当は連続増配推移です。
配当方針は「Core EPS対比平均して45%の配当性向を目処に、株主の皆様へ安定的な配当を行うことを目標」としています。Core配当性向の推移に大きな問題は無いです。
参考:株主還元|中外製薬
決算内容について
2021年2月4日の決算にて2020年12月期の連結経常利益は2,982億円と発表。前期比43.4%増、4期連続増収、増益となりました。また年間配当を55円に増額修正し、2021年12月期は60円に増配予定です。
中外製薬の今後の株価について
最後に中外製薬の今後の株価について上昇ポイント・下落ポイントを考えてみました。
中外製薬の株価上昇ポイント
世界的製薬会社であるスイスのロシュの傘下で副作用が少ない医薬品の「抗体医薬品」が強いです。ガン領域、骨・関節領域のほかにインフルエンザ治療薬「タミフル」なども保有しています。
2019年12月期は大きく増収増益となり新製品や主力品が好調に推移。2020年12月期も大きく成長しで業績はかなり好調です。また、投資にも積極的で中期的な成長にも期待がもてます。
中外製薬の株価下落ポイント
医薬品を扱う企業は、新製品の開発遅れや断念など思った結果が出ない場合、大きく株価が下落するケースがあります。また、海外での訴訟問題(訴訟する側、される側両方から)は多くの医薬品メーカーが抱える問題です。類似商品などのリスクもあります。
また、株価指標はかなり割高です。先の業績好調さが既に織り込まれた株価のため、短期的にみると、株価が下落する場面も出てきています。