インクジェットプリンタで国内トップクラスのセイコーエプソン(6724)。株価が業績悪化の影響で下落推移しています。果たしてこの先の株価と配当はどうなるのか。業績推移・株価チャート・配当推移を分析してみました。
- 年間配当利回りは高いが、配当性向が高く減配する可能性も
- 海外売上比率が高く海外市況・為替の影響を大きく受ける
- 短期の見通しは厳しいが、復活の手を打っている
セイコーエプソンの事業内容と株価指標
はじめにセイコーエプソンの事業内容と現在の株価指標を確認していきます。
株価指標と配当利回り
株価:1,253円
予想年間配当:62円
年間配当利回り:4.95%
予想PER:54.2倍
PBR:0.86倍
2020年11月2日終値時点のデータ
PERはかなり割高、PBRは割安です。株価が下落したことで年間の配当利回りは高いです。
セイコーエプソン(6724)とは
セイコーエプソン株式会社(Seiko Epson Corporation)は、情報関連機器、精密機器のメーカーである。略称・ブランドは「エプソン(EPSON)」。
インクジェットプリンターを始めとするプリンターや、プロジェクタ、パソコンといった情報関連機器、水晶振動子(クォーツ)、半導体などの電子デバイス部品の製造を行っている。また子会社ではないものの、セイコーホールディングス株式会社、セイコーインスツル株式会社とともに「セイコーグループ中核3社」の1つとされ、SEIKOブランド、およびORIENTブランドの各腕時計の開発・生産も行っている。
社名からセイコーホールディングスの子会社と誤解されることが多いが、別経営の独立した会社である。
セイコーエプソン – Wikipediaより抜粋
エプソンの主な事業はインクジェットプリンター、スキャナー、オフィス製紙機などの「プリンティングソリューションズ事業」です。また、売上の約8割は海外(欧米・アジア)と高い比率です。
参考:セグメント情報|エプソン
セイコーエプソンの業績推移と株価チャート
次にセイコーエプソンの業績推移と株価チャートの推移を確認していきます。
売上高と経常利益の推移

経常利益はかなり減少推移です。2020年3月期の経常利益は当初590億円の見通しでしたが397億円で着地。2021年3月期も減益見通しです。
参考:業績ハイライト|エプソン
株価チャートの推移
下記はセイコーエプソン5年分の週足株価チャートの推移です。

業績悪化、先の不透明感から株価が下落しています。
現在の株価1,000台前半は安いですが、業績推移・業績見通し共に厳しいのでさらに下落する可能性もあります。上昇した場合の第1メドは1,800円辺りと見ることができます。
セイコーエプソンの配当金推移と決算内容
次にセイコーエプソンの配当金の推移と決算内容を確認していきます。
配当金の推移
下記はセイコーエプソンの配当金の推移です。年2回、中間配当(9月)と期末配当(3月)を実施しています。

2016年3月期:60円
2017年3月期:60円
2018年3月期:62円
2019年3月期:62円
2020年3月期:62円
2021年3月期:62円(予)
配当は据え置きで推移です。
配当方針として「中期的には連結配当性向40%程度を目標」としています。2020年3月期の配当性向は278%、2021年3月期の予想配当性向は約270%とかなり厳しい数値です。
配当予想を出しているため、2021年3月期は配当を据え置く可能性もありますが、いつ減配してもおかしくない状況です。
参考:株主還元|エプソン
決算内容を確認
2020年10月29日の決算にて2021年3月期2Q累計(4-9月)の連結経常利益は69.7億円と発表、あわせて通期の同利益を従来予想の140億円から240億円に上方修正しています。
セイコーエプソンの今後の株価について
最後にセイコーエプソンの株価上昇要因と下落要因について考えてみます。
セイコーエプソンの株価上昇ポイント
配当性向はかなり上昇している中で配当を据え置き予定としています。もちろん今後の配当金の不透明感は強いですが、このまま減配・無配とならなければ高配当で株価の下支えとなる可能性は高いです。
また、通常のインクカートリッジプリンターから環境負荷・ランニングコストの低い大容量インクタンクプリンターに力を入れており、徐々に市場に浸透してきているのが復活のカギとなる可能性もあります。
セイコーエプソンの株価下落ポイント
業績推移を見ると連続減益です。2020年3月期の業績下方修正の主な要因は中国・インドをはじめ欧米各国の市況悪化と為替の円高進行です。これらは急速に回復する可能性が低くまだまだ不透明感は強いです。
また、配当金はいつ減配してもおかしくない水準です。大幅減配となれば当然株価への影響も考えられます。