調味料で有名な味の素(2802)、ここ数年の株価は下落していましたが、現在は下落から抜け出し上昇しています。果たして今後の株価はどうなるのか。株価指標・業績推移・株価チャートを分析してみました。また、配当推移と株主優待についても確認していきます。
- 株価指標に割安感はなく配当・優待利回りは高くない
- 株価は下落推移から上昇推移に転換
- 20年減配していないが配当性向は危険水準
味の素の事業内容と株価指標
はじめに味の素の事業内容と株価指標を確認していきます。
株価指標と配当利回りについて
株価:2,284円
予定年間配当:32円
年間配当利回り:1.4%
予想PER:34.8倍
PBR:2.2倍
2020年11月9日終値時点のデータ
PERは割高です。年間の配当利回りは平均より低めです。
味の素(2802)とは
味の素株式会社(あじのもと、英語: Ajinomoto Co., Inc.)は、日本の食品企業。「味の素」は、同社が製造販売するL-グルタミン酸ナトリウムを主成分とするうま味調味料で、同社の登録商標。
味の素は食品会社として広く認知されており、日本国内だけでなく世界各地にグループ企業や工場を持つ。化粧品ブランド「Jino」などアミノ酸生産技術を活用したケミカル事業、医薬事業も行っている。
味の素 – Wikipediaより一部抜粋
味の素の主要な事業は「食品事業」と「アミノサイエンス事業」です。中でも食品事業が売上・利益ともに大きな割合です。売上高の比率ですが43%が海外食品、33%が国内食品、利益の46%が海外食品、32%が国内食品です。
海外食品事業の割合は今後も増えていく見込みです。

味の素の業績推移と株価チャート
次に味の素の業績推移と株価チャートの推移を確認していきます。
売上高と最終利益の推移

2019年3月期、2020年3月期と連続減益で厳しい推移でしたが、2021年3月期は回復する予想です。売上はやや伸び悩み感があります。
株価チャートの推移
下記は味の素5年分の週足株価チャートの推移です。

長期の株価は下落していましたが、ここ最近は底値から抜け出し上昇しています。
これまでの株価下落要因としては株価指標が割高であったところに、連続減益・今後の業績不安などが考えられます。2021年3月期は復活する可能性が高く、株価下落が終わり上昇推移していると見えます。
味の素の配当推移と株主優待
次に味の素の配当金推移と2021年3月末から変更する株主優待制度を確認していきます。
配当推移について
下記は味の素の配当推移です。年2回、中間配当(9月)と期末配当(3月)を実施しています。

2016年3月期:28円
2017年3月期:30円
2018年3月期:32円
2019年3月期:32円
2020年3月期:32円
2021年3月期:32円(予)
配当はここ4年据え置きです。
経営計画では「配当性向40%を目途に安定的な配当」としています。過去20年減配しておらず、2021年3月期も配当を据え置き予想としています。
しかし、配当性向は2019年3月期が59.7%、2020年3月期が93.1%、2021年3月期の予想は約49%と方針より高い水準で推移しています。
株主優待制度について
味の素の株主優待は「自社製品の詰め合わせ」です。権利日は3月末、2021年3月期から一部の内容が変更になっています。
保有株式数 | 優待品内容 |
---|---|
100株以上 500株未満 継続半年以上 | 味の素グループの詰め合わせ (1,500円相当) |
500株以上 1,000株未満 継続半年以上 | 味の素グループの詰め合わせ (3,000円相当) |
1,000株以上 継続半年以上 | 味の素グループの詰め合わせ (4,000円相当) |
1,000株以上 継続3年以上 | 味の素グループ製品または寄付 (7,000円相当) |

100株保有、年間1,500円相当で計算すると優待利回りは約0.65%です。
参考:株主優待|味の素グループ
味の素の決算内容と今後について
最後に、味の素の決算内容の確認と今後について考えていきます。
決算内容について
2020年11月4日の決算にて2021年3月期2Q累計(4-9月)の連結最終利益は366億円と発表、あわせて通期の同利益を従来予想の320億円から360億円に上方修正しています。
前回決算にて225億円予想から上方修正、今回も上方修正を行い、想定より回復ペースが順調と見えます。
今後について
マレーシアに新工場設立、米国の液体調味料会社の株式取得など特に海外を中心に積極的に動いています。また、食品事業以外にも積極的に展開しています。短期的には巣ごもり需要により食品・冷凍食品が好調です。
しかし、海外の売上・利益比率が上がればそれだけ為替変動リスクを受けます。また、積極的に展開したもの全てがうまくいく保障は当然ありません。
国内でのシェアやブランド力は強いですが、海外の比率が高く内需銘柄とは言えません。良くも悪くもさまざまな出来事が業績へ影響します。積極的な海外展開は国内だけよりも将来性・伸びしろがありますが、当然それなりのリスクは伴います。