2018年末に株価が大きく下落したイオン(8267)。その後の株価も不安定な動きをしていましたが、2020年4月以降は大きく株価が上昇しています。果たして今後のイオンの株価はどうなるのか。業績推移・株価チャート・配当推移を分析してみました。また、株主優待制度のイオンラウンジについても確認していきます。
- 株価はやや割高で年間配当利回りは低め
- 配当は30年減配していないが、配当性向は100%超えで推移している
- 短期的な業績はかなり悪化する見通し
イオンの事業内容と株価指標
はじめにイオンの事業内容と株価指標を確認していきます。
株価指標と配当利回り
株価:3,260円
予定年間配当:36円
年間配当利回り:1.1%
予想PER:—
PBR:2.77倍
2020年12月25日終値時点のデータ
PBRは割高です。年間の配当利回りは低いです。
イオン(8267)とは
イオン株式会社(英: AEON CO., LTD.)は、日本国内外300余の企業で構成される大手流通グループ「イオングループ」を統括する純粋持株会社である。東京証券取引所第一部上場。世界11カ国に事業展開しており、売上総収入約8兆円規模の小売業世界第12位、日本第1位の業界首位となる。
イオン – Wikipediaより抜粋
売上の比率は総合スーパーが大きいですが、利益の多くは総合金融事業とディベロッパー事業が生み出しています。
イオンの配当推移と株主優待制度
次にイオンの配当金の推移と株主優待制度を確認していきます。
配当金の推移
下記はイオンの配当金の推移です。年2回、中間配当(8月)と期末配当(2月)を実施しています。

2016年2月期:28円
2017年2月期:30円
2018年2月期:30円
2019年2月期:34円
2020年2月期:36円
2021年2月期:36円(予)
イオンは30年減配なしの企業ですが、配当性向はここ5年ほど100%以上で危険水準です。
中長期的な基本方針として配当は「前年以上を維持しつつ、連結配当性向30%を目標」としています。30年減配していないですが、この先も配当性向が高いままだと減配しないとは言い切れないです。
参考:配当状況|イオン株式会社
株主優待制度について
イオンの株主優待は、「株主優待カード(イオンオーナーズカード)」です。半期100万円までのお買上金額に対し、保有株に応じた返金率でキャッシュバックがあります。
保有株式数 | 優待内容 |
---|---|
100株以上 | 3%キャッシュバック |
500株以上 | 4%キャッシュバック |
1,000株以上 | 5%キャッシュバック |
3,000株以上 | 7%キャッシュバック |
さらに、3年以上継続保有するとイオンギフトカードがいただけます。
保有株式数 | 優待内容 |
---|---|
1,000株以上 | 2,000円相当のギフトカード |
2,000株以上 | 4,000円相当のギフトカード |
3,000株以上 | 6,000円相当のギフトカード |
5,000株以上 | 10,000円相当のギフトカード |
また、株主優待カードにはキャッシュバック以外の特典もあります。
イオンラウンジの今後について
イオンの株主優待カード(イオンオーナーズカード)ですが、キャッシュバックに加えてカードを保有しているとイオンラウンジを利用することができます。そのため、イオンラウンジを利用したい人が保有していることが多いです。
しかし、株主優待カードでイオンラウンジを利用できることについては株主総会で「不公平ではないか」、「ラウンジ混雑の原因ではないか」と問題視されている事が何度かあり、なんらかの変更が行われる可能性があると考えられます。
※なお、イオンラウンジ自体しばらく休止しています
イオンの業績推移と株価チャート
次にイオンの業績推移と株価チャートの推移を確認していきます
売上高と経常利益の推移

売上・経常利益ともに比較的順調に推移していましたが、2020年2月期は減益、2021年2月期は大きく減益見通しです。
株価チャートの推移
下記はイオン5年分の週足株価チャートの推移です。

2018年年末に大きく株価が下落、相場全体の動きが悪いのに加えて海外ファンドが保有株を手放したことによる下落ですが、その後も不安定な動きをしていました。しかし、2020年4月以降は上昇し過去最高値を更新しています。
イオンの決算内容と今後について
最後にイオンの決算内容の確認と今後について考えてみます。
決算内容を確認
2020年10月7日の決算にて2021年2月期2Q累計(3-8月)の連結最終損益は575億円の赤字と発表。2Q単体で見ると1Qの厳しさからはやや抜けましたが、まだ不透明感はあります。
また、2020年12月23日に業績予想修正を発表。営業利益を500億円~1,000億円予想から1,200億~1,500億円予想に上方修正、未定としていた経常利益は1,000億円~1,200億円予想としています。
今後について
イオンの売上比率はスーパーが大きいですが、利益の多くは総合金融事業とディベロッパー事業です。スーパーマーケット事業は落ち込んでおり、高い配当性向や自己資本比率の低さ、金融業を行っているとはいえ有利子負債の多さは気になり、まだまだ読めない部分が多く不安材料は多いです。
株価は上昇し過去最高値を更新、割高感もあります。業績予想修正で想定より悪化しない見通しですが、それでも2021年2月期は大きく減益見通しです。
また、イオンの公式サイトには下記文言が大きく載っています。
株式投資では配当金や株主優待などのメリットがある反面、値下がりというリスクもともないます。その責任は投資判断を行った株主ご自身が負担することになります。
イオン公式サイトより抜粋
株式投資に限らず投資全般に言えることですが、この通りです。リスクのない株や投資はないです。