名古屋地盤に葬祭会館をドミナント展開するティア(2485)。2019年9月末で株主優待制度を廃止、利益還元を「配当重視」としています。はたして今後の株価・配当はどうなるのか。廃止となった優待内容の確認、業績推移・株価チャート・配当推移を分析してみました。
- 株価指標に目立った割安感、割高感は無く配当利回りは高め
- 配当重視とするため株主優待を廃止、優待が復活する可能性は低い
- 利益は大きく減益、回復できないと減配する可能性も
ティアの事業内容と株価指標
はじめにティアの事業内容と株価指標を確認していきます。
株価指標と配当利回り
株価:489円
予定年間配当:20円
年間配当利回り:4.09%
予想PER:24.3倍
PBR:1.22倍
2021年4月2日終値時点のデータ
PERはやや割高、PBRはやや割安です。大幅増配当・株価下落により年間配当利回りは高いです。
ティア(2485)とは
株式会社ティア(英: Tear Corporation)は、葬儀会館ティアを展開および葬儀施行を行う葬祭業の企業である。
ティア – Wikipediaより抜粋
2019年9月末現在で直営・フランチャイズ合計で116店を展開しています。中長期目標では200店舗体制を目指しています。時価総額は100億円程度なので大企業ではないです。
ティアの株主優待制度と配当推移
次に廃止となったティアの株主優待制度と配当推移を確認していきます。
廃止した株主優待制度について
ティアの株主優待は「お米」で毎年9月末が権利日、2019年9月末で廃止となりました。
保有株式数 | 優待内容 |
---|---|
100 株以上 | お米 3kg |
1,000株以上 | お米 5kg |
3,000株以上 | お米 10kg |
割と人気の株主優待でしたが廃止。廃止理由は「公平な利益還元のあり方という観点から、配当により積極的に利益還元」です。優待が復活する可能性は低そうです。
配当金の推移
下記はティアの配当推移です。年2回、中間配当(3月)と期末配当(9月)を実施しています。

2016年9月期:6円
2017年9月期:8円
2018年9月期:10円
2019年9月期:11円
2020年9月期:20円
2021年9月期:20円(予)
2020年9月期に株主還元を配当重視に切り替えたことで大幅増配となっています。
配当性向はこれまで20%~30%程度で推移していましたが、2020年9月期の配当性向は129.6%、2021年9月期の予想配当性向は約100%とかなり高いです。
参考:配当情報|株式会社ティア
ティアの業績推移と株価チャート
次にティアの業績推移と株価チャートを確認していきます。
売上高と経常利益の推移

2020年9月期は増益予想から大きく下方修正して減益で着地。2021年9月期の予想も厳しいです。
株価チャートの推移
下記はティア5年分の週足株価チャート推移です。

株価は下落推移し低迷しています。
下落要因としては割高にあった株価に加えて利益の伸び悩み、2018年11月に新株発行や今後の業績不安などさまざまの事があります。優待廃止の影響は小さいですが、厳しい株価推移です。
ティアの決算内容と今後について
最後にティアの決算内容の確認と今後について考えていきます。
決算内容について
2021年2月9日の決算にて2021年9月期1Q(10-12月)の連結経常利益は4億円と発表。前年同期比4.4%増、通期計画の7.1億円に対する進捗率が57.3%となりました。
今後の見通しについて
比較的人気の優待を廃止しましたが配当による還元重視の考えとなり、株価へはあまり影響していません。この先、業績が安定すれば高配当利回り銘柄になりますが、短期的には厳しいのが想定されます。配当性向の高さを考えると、利益が増えないと減配する可能性は高いです。
事業で行っている葬儀に関する需要は今後、増加すると考えられていますが、その反面、儀式の簡素化・葬儀の小規模化がさらに進行すると考えられます。そのため、単価下落を件数で補う展開が想定されます。ティアは家族葬専用の葬儀会館を軸に積極展開するとしています。新たなニーズに対してどこまで利益を伸ばすことができるかがカギとなります。