トマト加工品で国内トップのカゴメ(2811)。株価は2018年からゆるやかに下落していましたが、2020年4月以降は大きく上昇しています。はたして今後のカゴメの株価と配当はどうなるのか。業績推移・株価チャート・配当推移や株主優待を分析してみました。
- 株価指標の割高感が強く、配当利回りは低い
- 増配傾向だが配当性向は上昇
- ブランド力が強く健康志向も今後の後押しになる可能性はある
カゴメの事業内容と株価指標
はじめにカゴメの事業内容と株価指標を確認していきます。
株価指標と配当利回り
株価:3,495円
予想年間配当:36円
年間配当利回り:1.03%
予想PER:44.6倍
PBR:2.79倍
2021年1月7日終値時点のデータ
株価指標は割高水準です。年間の配当利回りは低いです。
カゴメ(2811)とは
カゴメ株式会社(KAGOME CO.,LTD.)は、飲料、食品、調味料の大手総合メーカーである。ブランド・ステートメントは「自然を、おいしく、楽しく。」
トマト加工事業では国内最大手としてその名を知られており、1933年に国内初のトマトジュースを発売、同社の根幹を支える製品として、現在に至るまで発売され続けている。
株主を大事にする企業としても知られ、同社では個人株主のことを「ファン株主」と呼んでいる。定期的に工場や直営農園の見学や、健康応援セミナーといった「対話と交流の会」が催されている。
カゴメ – Wikipediaより抜粋
カゴメ株式会社は、トマト加工品で国内最大手です。トマトだけでなく野菜や果物が原料の飲料商品が多いため、それらの市場価格が業績に影響します。 主な事業セグメントは「国内の加工食品事業」で代表的な商品は「野菜生活」、「トマトジュース」、「トマトケチャップ」などです。
カゴメの業績推移と株価チャート
次にカゴメの業績推移と株価チャートを確認していきます。
売上高と最終利益の推移

2018年12月期はIFRSに移行する影響もあり売上は目減り。2020年12月期は増収・減益の見通しでしたがポルトガル子会社が保有する固定資産の減損損失を約30億円計上する見込みから下方修正し減益見通しとしています。
株価チャートの推移
下記はカゴメ5年分の週足株価チャートの推移です。

2018年から株価は下落トレンドで推移。2019年後半には下落が落ち着いたものの、2020年に入り急落。
その後の株価は内食需要が堅調で、急速に持ち直し下落前の株価を超えて最高値付近まで上昇。現在はやや下落しています。
カゴメの配当推移と株主優待制度
次にカゴメの配当金の推移と株主優待制度を確認していきます。
配当金の推移
下記はカゴメの配当金の推移です。期末(12月末)の一括配当を実施しています。

2018年12月期の配当40円は普通配当30円、記念配当10円です。そこを考慮すると配当は増配傾向です。
カゴメの株主還元方針は「連結業績を基準に総還元性向40%」、「年間配当金額35円以上を安定的に現金配当する」としています。2019年12月期の配当性向は30%、2020年12月期の予想配当性向は約46%と上昇する見込みです。
株主優待制度について
カゴメの株主優待制度は「自社商品」です。2019年から新制度に変わりました。
保有株式数 | 優待内容 |
---|---|
100株以上 | 2,000円相当 |
1,000株以上 | 6,000円相当 |
上記に加え、10年以上保有するとオリジナル記念品がもらえます。
変更前は、年2回実施していましたが宅配コスト上昇などに伴い年1回になったのと、半年以上の継続保有条件が追加されました。年間合計の優待金額は変わりません。株主優待の回数を減らす、継続保有条件を加える優待は増加傾向にあり、この変更は特段気にする内容ではないです。
100株保有で年間2,000円分なので優待利回りは約0.6%です。
参考:株主優待|カゴメ株式会社
カゴメの決算内容と今後について
最後にカゴメの決算内容の確認と今後について考えていきます。
決算内容について
2020年10月30日の決算にて2020年12月期3Q累計(1-9月)の連結経常利益は120億円と発表、前年同期比で10.9%増となりました。 3Q単体でみると経常利益は前年同期比で40.3%増と好調です。
また、2020年12月25日に業績修正を発表し、2020年12月期の連結最終利益を87億円から70億円に下方修正しています。
今後について
外出自粛要請・巣ごもり需要から家庭用食品の売上は増加、その反面で外食の落ち込みにより業務用の販売が減少しています。今後、工場の停止や物流費上昇などが発生した場合は業績に悪影響も考えられます。
一時は株価が下落し買いやすくなっていましたが、現在は株価指標の割高感が強めです。ブランド力は強く今後、健康志向が高まっていく中で利益率の改善が進めばまだまだ成長余地はあります。