調味料で有名な味の素(2802)の株価がここにきて上昇トレンドを形成しつつあります。一時は業績悪化により株価が下落しましたが、今後の株価がどうなるかをこれまでの業績推移や株価チャートに加え、現在の株価の各指標や配当・株主優待から考えてみました。
- 味の素の業績推移と株価チャートを確認
- 株価の各指標と配当、株主優待の確認
- 最近の業績と今後の見込みについて
業績推移と株価チャート
まずはじめに味の素について、ここ5年の業績推移、約3年の株価チャートを確認します。
味の素とは
味の素株式会社(あじのもと、英語: Ajinomoto Co., Inc.)は、日本の食品企業。「味の素」は、同社が製造販売するL-グルタミン酸ナトリウムを主成分とするうま味調味料で、同社の登録商標。
味の素は食品会社として広く認知されており、日本国内だけでなく世界各地にグループ企業や工場を持つ。化粧品ブランド「Jino」などアミノ酸生産技術を活用したケミカル事業、医薬事業も行っている。
wikipediaより一部抜粋
味の素の主要な事業は「食品事業」と「アミノサイエンス事業」です。中でも食品事業の海外部門が売上・利益ともに大きな割合を占めています。
売上高と経常利益の推移
味の素の過去5期分の売上高・経常利益の推移です。

利益が伸び悩んでおり、特に2019年3月期はかなり厳しい結果となりました。
株価チャート
直近約3年の週足株価チャートです。

業績伸び悩みで株価が下落トレンドで進む中、2019年1月31日の決算時には業績の下方修正を行い大きく株価が下落しました。
しかし、その後は最終的に想定よりも悪くなかったこと、2020年3月期の業績が大きく回復する見込みと発表され現在の株価は上昇トレンドとなっています。
ここから上値メドは2,200円と2,500円、下値は1,600円と1,800円辺りでしょうか。
株価の各指標と配当利回りについて
次に株価の各指標と配当について見ていきます。
株価の各指標を確認
味の素の現在の株価は2,000円。年間配当は32円の予定なので年間配当利回りは約1.6%です。PERは21.9倍。PBRは1.81倍。ここ最近株価が上昇したこともありPER、PBRがともに割高です。
※2019年10月11日終値時点
過去の配当推移を確認
味の素の配当推移を見てみます。
2015年3月期 | 2016年3月期 | 2017年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期(予) |
---|---|---|---|---|---|
24円 | 28円 | 30円 | 32円 | 32円 | 32円 |
ここ3年の配当は据え置きです。2019年3月期は業績が悪かったこともあり配当性向は59.7%まで上がりましたが減配は行わず、2020年3月期の予想配当性向は35.1%です。
経営計画では配当性向30%を目途に安定的な配当としています。過去20年減配しておらず、2019年3月期も配当を据え置いたことから現状では減配する可能性は低いです。
しかし、この先の業績次第では減配する可能性もあるかもしれません。もちろん、業績が復活してさらに伸ばすことができれば増配する可能性が高いです。
株主優待制度について
味の素は株主優待を実施しています。権利日は3月末で自社製品の詰め合わせがいただけます。
保有株式数 | 優待品内容 |
---|---|
100株以上1,000株未満 | 味の素グループの食品の詰め合わせセット(1,000円相当) |
1,000株以上(保有期間継続3年未満) | 味の素グループの食品の詰め合わせセット(3,000円相当) |
1,000株以上(保有期間継続3年以上) | 味の素グループ製品または寄付(6,000円相当) |

100株保有の場合、優待利回りは約0.5%です(100株200,000円で1,000円分として計算)。
最近の業績、今後について
最後に、最近の業績と今後について考えてみます。
最近の業績について
2019年7月30日の決算にて2020年3月期第1四半期(4-6月)の連結税引き前利益は269億円と発表しました。ここ数年の1Qでは一番良い結果で前年同期比23.5%増です。
特に海外での加工用うま味調味料や冷凍食品が好調で、まだ1Qだけですが2019年期から大きく増益する可能性が高く、2017年期、2018年期にどこまで近づけるかが目指すところとなりそうです。
今回の決算では業績予想を据え置きましたが、このまま好調に推移すれば上方修正する可能性は高いです。
今後について
マレーシアに新工場設立、米国の液体調味料会社の株式取得など特に海外を中心に積極的に動いています。また、食品事業以外にも積極的に展開しているのも良い点です。
しかし、海外の売上・利益比率が上がれば、それだけ為替変動リスクを受けます。また、積極的に展開したもの全てがうまくいく保障はありません。現在の株価指標が割高であることも気になる点です。