炭素繊維で世界2位の帝人(3401)。株価は業績悪化の影響で下落推移しています。果たして今後の株価と配当はどうなるのか。業績推移・株価チャート・配当推移を分析してみました。
- 株価指標は割安だが業績は連続減収・減益で厳しい
- 配当金は方針に従うと今後も減配する可能性もあり
- 長期的にはヘルスケア事業中心の投資がカギ
帝人の事業内容と株価指標
はじめに帝人の事業内容と株価指標を確認していきます。
株価指標と配当利回り
株価:1,920円
予定年間配当:50円
年間配当利回り:2.6%
予想PER:—
PBR:0.86倍
2021年3月8日終値時点のデータ
市場平均と比較するとPBRは割安です。配当利回りは高めですが、減配予定です。
帝人(3401)とは
帝人株式会社(ていじん、英:Teijin Limited)は、日本の繊維事業者。帝人グループの中核企業であり、事業持株会社である。
UFJグループで、みどり会構成企業の一つであり、かつては宇部興産、日立造船と共に「三和御三家」と呼ばれていた。
2018年度で、アラミド繊維・炭素繊維等のマテリアル事業が売上高の76%・営業利益の48%を、独・ベーリンガーインゲルハイム社との合弁に端を発する医薬品等のヘルスケア事業が売上高の17%・営業利益の44%を占めている
帝人 – Wikipediaより抜粋
売上の大半は「マテリアル事業」、利益の大半は「マテリアル事業」と「ヘルスケア事業」です。炭素繊維で世界2位ですが、医薬や在宅医療機器、樹脂、電子材料など様々な事業を展開しています。
参考:業績・指標|帝人株式会社
帝人の業績推移と配当推移
次に帝人の業績推移と配当推移を確認していきます。
売上高と経常利益の推移

連続減収・減益で推移しています。2021年3月期も減収・減益見通しで、最終損益は固定資産にかかる減損損失などの特別損失を業績予想に織り込んだことで100億円の赤字予想です。
配当金の推移
下記は帝人の配当金の推移です。年2回、中間配当(9月)と期末配当(3月)を実施しています。

2016年3月期:35円
2017年3月期:55円
2018年3月期:60円
2019年3月期:70円
2020年3月期:60円
2021年3月期:50円(予)
2019年3月期は100周年の記念配当が10円含まれています。
配当方針は「配当性向30%を目安」です。2020年3月期の配当性向は45.6%、2021年3月期は最終赤字予想のため厳しい数値です。更に減配する可能性も想定されます。
参考:株主還元|帝人株式会社
帝人の株価チャートと決算内容について
次に帝人の株価チャートと決算内容を確認していきます。
株価チャートの推移
下記は帝人5年分の週足株価チャートの推移です。

株価は下落気味のレンジで推移しています。業績の落ち込みを考えると株価は比較的耐えている印象です。ここからの上値メドは2,200円、下値メドは1,600円です。
決算内容を確認
2021年2月8日の決算にて2021年3月期3Q累計(4-12月)の連結経常利益は428億円と発表。あわせて通期の同利益を480億円から530億円に上方修正、最終損益を250億円の黒字から100億円の赤字に下方修正しています。
帝人の今後について
最後に帝人の今後の株価について考えてみます。
今後について
原料価格、薬価・診療報酬改定、世界経済の成長鈍化など短期的にも長期的にもやや苦しい条件がある状態です。また、複数の医薬品で承認申請・臨床試験を行っており、これらは一つのニュースで大きくプラスになる可能性もマイナスになる可能性も持っています。
2021年3月期の経常利益は2度の上方修正を行っており、増益となる可能性もあります。また、中期経営計画2020-2022ではヘルスケアを中心に設備投資・M&Aに3年累計で3,500億円の投資を行うとしています。ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(JTEC)(7774)へのTOBもその一環と考えられます。今後はヘルスケア事業がどこまで伸びるかが業績のカギを握っています。