電子部品大手メーカーのTDK(6762)。業績悪化予想で減配予定としていましたが、想定以上の回復により配当を上方修正し、維持予定としています。はたして今後の株価と配当はどうなるのか。業績推移・株価チャート・配当推移を分析してみました。
- 株価指標に割安感はなく、配当利回りも平均より低め
- やや業績が苦戦しており、配当は減配予定
- グローバル化が進み、為替や世界的な経済動向の影響を大きく受ける
TDKの事業内容と株価情報
はじめにTDKの事業内容と株価情報を確認していきます。
株価指標と配当利回り
株価:13,100円
予定年間配当:180円
年間配当利回り:1.37%
予想PER:21.8倍
PBR:1.9倍
2020年11月10日終値時点のデータ
株価指標に割安感はないです。年間の配当利回りも平均より低めです。
TDK(6762)とは
TDK株式会社(ティーディーケイ、英: TDK Corporation)は、日本の電気機器製造会社である。フェライトなどの電子部品に加え、過去にはビデオテープ、アナログオーディオテープ、デジタルオーディオテープ、フロッピーディスクなどの各種記録メディア(磁気、光など)も製造販売していたが、現在ではフェライトやコンデンサを始めとする電子材料・電子部品・磁気ヘッド・二次電池などを製造販売する大手メーカー。
1980年代以降、記録メディア、磁気ヘッド、電子部品、リチウムイオン二次電池と、積極的に主力事業のポートフォリオを入れ替えており、海外を含むM&Aを繰り返して事業を成長させている。経営のグローバル化も進んでおり、海外売上比率は9割を超え、海外株主比率も4割に達する。
TDK – Wikipediaより一部抜粋
主なセグメントは二次電池やLED用電源の「エナジー応用製品」(43.9%)、ノイズを抑えるキーデバイスやコンデンサの「受動部品」(29%)、発電用マグネットや磁気ヘッドなどの「磁気応用製品」(16.1%)です。

TDKの業績推移と株価チャート
次にTDKの業績推移と株価チャートの推移を確認していきます。
売上高・経常利益の推移

2017年3月期は譲渡益(営業利益1,490億円)を計上したことで大きく利益が上昇。売上・利益ともに比較的順調に推移していましたが、2020年3月期は減損損失の影響もあり減収・減益、2021年3月期も減収・減益の見通しでしたが上方修正で増収・増益見通しに変更しています。
株価チャートの推移
下記はTDK5年分の週足株価チャートの推移です。

株価は2020年に入り大きく下落するもその後は上昇。現在はレンジ上限を抜け、高値更新をしたところです。業績上方修正により株価が上昇しています。
TDKの配当推移と決算内容
次にTDKの配当金の推移と決算内容を確認していきます。
配当金の推移
下記はTDKの配当金の推移です。年2回、中間配当(9月)と期末配当(3月)を実施しています。

2016年3月期:120円
2017年3月期:120円
2018年3月期:130円
2019年3月期:160円
2020年3月期:180円
2021年3月期:180円(予)
2021年3月期は減配予定でしたが、上方修正を行い維持予定としています。
配当方針として「連結ベースの株主資本利益率(ROE)や株主資本配当率(DOE)の水準、事業環境の変化等を総合的に勘案して配当を行う」としています。2020年3月期の配当性向は39%。2021年3月期は約30%です。
決算内容について
2020年10月30日の決算にて2021年3月期2Q累計(4-9月)の連結経常利益は631億円と発表。あわせて通期の同利益を従来予想の700億円から1,110億円に上方修正。年間配当を160円予定から180円に増額修正しています。
TDKの今後の株価について
最後にTDKの今後の株価上昇ポイントと下落ポイントを考えてみました。
TDKの株価上昇ポイント
エナジー応用製品をはじめ、多くの製品が5G関連での需要増により今後も好調が見込めます。確かな技術力があるため景気が上向けば業績が上向く可能性は高いです。値がさ株で、株式分割については「慎重に検討」としていますが、分割を行う可能性がゼロではなさそうです。
TDKの株価下落ポイント
自動車向け製品が軟調に推移しているのに加え、グローバル化により為替レートが業績に影響します。円安になればプラスですが円高が進行すれば利益減少要因になります。また、株価指標に割安感もないです。