ネット通販大手で金融業、プロ野球球団に加え携帯電話に参入、日本郵政と資本・業務提携するなど幅広く事業を展開する楽天グループ(4755)。今後の株価はどうなるのか。業績推移・株価チャートを分析してみました。
- 株価指標に割安感はない、売上は伸びているが利益は厳しい
- 配当・優待に大きな期待はできない
- モバイル事業はしばらく投資が大きい
楽天グループの事業内容と株価指標について
はじめに楽天グループの事業内容と株価指標について確認していきます。
楽天グループの株価指標
株価:1,297円
予定年間配当:未定
年間配当利回り:—
予想PER:—
PBR:3.35倍
2021年4月6日終値時点のデータ
2021年12月期の業績見通し・配当金は未定です。PBRは割高です。
楽天グループ(4755)とは
楽天グループ株式会社(らくてんグループ、英: Rakuten Group, Inc.)は、インターネット関連サービスを中心に展開する日本の企業。
インターネットショッピングモール「楽天市場」や総合旅行サイト「楽天トラベル」、フリマアプリ「ラクマ」などのECサイトを運営する。通信、金融、不動産、スポーツなど様々な業種の企業を傘下に有しており、これらで構成される楽天グループの中核会社である。
楽天 – Wikipediaより抜粋
売上に占めるセグメントの比率としては「インターネットサービスセグメント」が54.3%、「フィンテックセグメント」が32.6%、「モバイルセグメント」が13.1%です。モバイルセグメントは売上は伸びていますが、先行投資がかさみ利益は赤字が続いています。
楽天グループの業績推移と株価チャート
次に楽天グループの業績推移と株価チャートを確認していきます。
楽天グループの売上高と経常利益の推移

売上は順調に右肩上がりですが、2019年12月期の経常損益は赤字。「物流事業・モバイル事業への先行投資」と「米国Lyftに対する投資の減損損失を計上」が主な赤字の要因です。2020年12月期の赤字も同様に先行投資とLyftに対する投資損失計上です。
楽天グループの株価チャート
下記は楽天グループ5年分の週足株価チャート推移です。

キャリア参入時のさまざまな問題や楽天市場の利益減少、割高な株価もあり下落する場面が何度かありました。2020年4月以降では巣籠によるEC需要増というプラス要因とキャリア参入での苦戦というマイナス要因があり方向感がつかみにくい動きです。また、2021年3月には日本郵政との資本。業務提携発表により、一時はストップ高まで上昇しています。
楽天グループの配当推移と株主優待
次に楽天グループの配当金の推移と株主優待制度を確認していきます。
楽天グループの配当金推移
下記は楽天グループの配当金推移です。期末(12月末)の一括配当を実施しています。

配当は年間4.5円で推移しています。
配当方針は「中長期的な成長に向けた投資や、財務基盤の安定化のための内部留保の充実を勘案しつつ、安定的・継続的に配当を行う」です。過去最高益だった2018年12月期の配当性向は4.2%でしたが、2019年12月期、2020年12月期は赤字です。
楽天グループの株主優待制度
楽天グループの株主優待は「楽天キャッシュの付与」と「楽天トラベルクーポン」です。12月末が権利日です。
所有株式数 | 優待内容 |
---|---|
100株以上 | 「楽天キャッシュ」500円相当 |
1,000株以上 | 「楽天キャッシュ」1,000円相当 |
5,000株以上 | 「楽天キャッシュ」1,500円相当 |
10,000株以上 | 「楽天キャッシュ」2,000円相当 |
100株以上 | 「楽天トラベル」国内宿泊クーポン 1,500円相当 |
5年以上の長期保有で楽天キャッシュが+500円です。100株保有で500円相当と考えると優待利回りは約0.4%です。
楽天グループの決算内容と今後について
最後に楽天グループの決算内容と今後について考えていきます。
決算内容について
2021年2月12日の決算にて2020年12月期の連結経常損益は1,510億円の赤字と発表。2021年12月期の業績見通しは非開示、年間配当は未定としています。
今後について
楽天モバイルは2020年4月に携帯キャリアサービスを本格スタートさせており、今後の利用者数の推移や、投資および収益がポイントとなります。しばらくは投資が大きいですが、楽天は既にECサイト(ネット通販)を中心とした金融業(楽天カード、楽天銀行など)、旅行、デジタルコンテンツなど多くのサービスを結び付け「楽天エコシステム(経済圏)」を形成しています。
グループが行うサービスへのプロモーションや回遊・継続利用をさせる力は強く、携帯電話への参入でその力はさらに強まります。しかし、競合の既存キャリアがかなり強い力を持っておりどこまで顧客を確保できるか不透明感はあります。
また、日本郵政と資本・業務提携による業容拡大期待から一時はストップ高まで株価が上昇しました。物流事業が強化される期待値はありますが、日本郵政は厳しい業績が続き、かんぽ生命保険契約問題で業務改善命令を受けるなどの問題もあります。