総合商社の三井物産(8031)。株価は短期でも長期でも上昇しています。株価指標に割高感は無く、配当利回りが高いです。果たして三井物産の今後の株価と配当はどうなるのか。業績推移・株価チャートと配当推移を分析してみました。
- 株価指標に割高感は無く年間配当利回りは高い
- 連続減益見通しだが、安定配当の期待値が高い
- 事業には多くのリスクがある反面、リスク分散と考えることもできる
三井物産の事業内容と株価指標
はじめに三井物産の事業内容と株価指標を確認していきます。
株価指標と配当利回り
株価:2,372円
予定年間配当:80円
年間配当利回り:3.37%
予想PER:14.7倍
PBR:0.96倍
2021年3月19日終値時点のデータ
商社銘柄にありがちな割安さと年間配当利回りの高さです。
三井物産(8031)とは
三井物産株式会社(みついぶっさん、英: MITSUI & CO., LTD.)は、三井グループの大手総合商社。三井不動産、三井銀行(現:三井住友銀行)と並ぶ『三井新御三家』の一つ。鉄鉱石、原油の生産権益量は商社の中でも群を抜いている。
三井物産- Wikipediaより抜粋
三井物産は三井グループ中核の総合商社です。鉄鉱石、原油の生産権益量、インフラが強みで、トヨタグループとの繋がりも深く、カナダや中南米の一部の国におけるトヨタの販売会社に出資する等の関係を継続しています。また「セブン&アイ・ホールディングス」とも親密で物流やショッピングセンター開発などの面で提携しています。海外にも広く事業を展開しています。
三井物産の配当推移と業績推移
次に三井物産の配当推移と業績推移を確認していきます。
配当金の推移
下記は三井物産の配当金の推移です。年2回、中間配当(9月)と期末配当(3月)を実施しています。

2016年3月期:64円
2017年3月期:55円
2018年3月期:70円
2019年3月期:80円
2020年3月期:80円
2021年3月期:80円(予)
三井物産の株主還元方針は中期経営計画にて「年間配当の下限を80円と設定」しています。
あくまでも下限が80円で業績次第で+αですが、2020年3月期の配当性向は35.3%、2021年3月期の予想配当性向は約50%と高い見通しです。
売上高と最終利益の推移

2018年3月期、2019年3月期は好調でしたが、2020年3月期は4Qに前年同期比で大きくマイナスとなり減益に。2021年3月期もさらに減益となる可能性が高いです。
三井物産の株価チャートと決算内容
次に三井物産の株価チャートと決算内容を確認していきます
株価チャートについて
下記は三井物産5年分の週足株価チャート推移です。

長期で見ると上昇トレンド、短期でも大きく上昇しています。業績予想がやや厳しいことを考えると、株価はかなり強めです。ここからの上値メドは2,800円-3,000円、下落メドは1,800円と見ることが出来ます。
最近の決算を確認
2021年2月3日の決算にて2021年3月期3Q累計(4-12月)の連結最終利益は1,989億円と発表。あわせて通期の同利益を1,800億円から2,700億円予想に上方修正しています。
三井物産の今後について
最後に三井物産の今後について考えてみます。
今後について
三井物産はさまざまな事業セグメントがあるため、多くの出来事の影響を受けます。原油・鉄鉱石などの販売価格、為替レートや金利に加え多くの株式を保有しているので株価の影響も受けます。
これは三井物産に限らず総合商社の多くに当てはまります。多くのセグメントがあるのは多くのリスクを抱えると同時にリスク分散とも言えます。アナリスト、証券会社の評価は高く、強気で設定しています。
しかし、アナリストはあくまでも現状を分析した結果です。彼らは今を分析するのは得意ですが、未来が見えるわけではないです。中期の経営計画にて年間配当の下限を80円としたことから安定配当に期待ができ、各国の経済対策の効果もあり最悪期は抜けたとみられています。
しかし、まだ完全回復とはなっておらず、まだ不透明感はあります。