電気機器メーカーのマクセル(6810)。今後の株価と配当はどうなるのか、業績推移・株価チャート・配当推移を分析してみました。産業機械向け全固体電池を世界で初めて量産する報道を受けて株価が上昇しました。
- 2021年3月期は無配転落、2022年3月期は復配
- 株価はレンジで推移していたが、思惑から上昇
- 技術力はあるが懸念材料もある
マクセルの株価情報と業績推移
マクセルの株価情報と業績推移を見ていきます。
株価指標
株価:1,588円
予想PER:15.24倍
PBR:0.89倍
予想EPS:104.2円
時価総額:847億円
2023年3月23日終値時点のデータ。
最新の株価参考:マクセル(株)【6810】:Yahoo!ファイナンス
目立った割安感はないです。
業績の推移
下記はマクセルの売上高・営業利益・経常利益・最終利益の推移です。

2020年3月期の最終損益は104億円の赤字に。2021年3月期、2022年3月期も最終赤字で3期連続最終赤字となりました。2023年3月期の最終利益は黒字回復見通しとしています。
参考:業績・財務情報|マクセル
株価の推移
下記はマクセル5年分の週足株価チャートです。

2020年5月に2021年3月期の配当を見送ることを発表しましたが、ある程度織り込まれていたのもあり株価への反応は限定的でした。
2021年以降は底値を抜けてレンジで比較的緩やかに推移していましたが、2023年3月に「全固体電池量産化の報道」でレンジを抜けて上昇しています。
マクセルの配当情報と株主優待
マクセルの配当情報と株主優待制度を見ていきます。
配当情報
2023年3月期の予定年間配当:40円
予想年間配当利回り:2.52%
配当金の推移
下記はマクセルの配当金推移です。配当権利日は、9月(中間配当)と3月(期末配当)です。

2018年3月期:44円
2019年3月期:36円
2020年3月期:268円
2021年3月期:0円
2022年3月期:40円
2023年3月期:40円(予)
2020年3月期は特別配当が突出しています。2021年3月期は業績悪化により無配、2022年3月期は復配しています。
2023年3月期の配当は据え置き予定、予想配当性向は約37%です。
特別配当の実施理由と配当方針
2020年3月期の特別配当を実施した理由ですが、下記が公式サイトのIR情報の一部です。
基本配当方針‐安定的かつ適正な利益還元を継続的に行うことを基本とし、具体的には、業績を反映させ、財務状況や将来への投資などを総合的に勘案し、配当性向3~4割を目安として実施します。
中期経営計画の修正及び株主還元に関するお知らせ|マクセルホールディングスより一部抜粋
MG20期間中の株主還元‐ 適正な資本構成をめざし、MG20の期間中(2019~2020年度)は、総還元性向100%以上を目安とし、株主の皆様への利益還元を機動的に実施します。
基本の配当方針は「配当性向3~4割を目安」。特別配当はあくまでも特別な株主還元策として配当性向100%以上を目安として行ったものです。
株主優待について
株主優待制度は実施していません。
マクセルの事業・決算内容と今後について
マクセルの事業・決算内容の確認と今後について考えてみます。
マクセル(6810)とは
マクセル株式会社(英: Maxell, Ltd.)は、電池、磁気テープ、光学部品、理美容、健康、医療などの製造・販売、CD、DVDなどの光ディスクの販売を行う日本の企業。
電池ではアルカリマンガン乾電池や酸化銀電池を日本初でそれぞれ製品化している。過去には、記憶メディア部門はTDKやソニー、乾電池部門はパナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社とのシェア争いが熾烈を極めた時期もあったが、現在の部門別売上高ではそれぞれ後塵を拝している。
マクセル – Wikipediaより抜粋
マクセル株式会社は一般向けには電池や美容家電が強く、昔はカセットテープやCD-RなどのCMもしており、日立製作所(HITACHI)の完全子会社時代もありました。
決算内容を時系列に確認
2022年3月期の連結最終損益は36.5億円の赤字と発表、2023年3月期の同利益は60億円見通し、年間配当は40円予定としています。(2022年5月13日の決算発表にて)
2023年3月期1Q決算
2023年3月期1Q(4-6月)の連結最終損益は16.4億円と発表、前年同期比37.9%減となりました。(2022年7月27日の決算発表にて)
2023年3月期2Q決算
2023年3月期2Q累計(4-9月)の連結最終利益は31.4億円と発表。また、通期の同利益を60億円予想から50億円予想に下方修正しています。(2022年10月28日の決算発表にて)
2023年3月期3Q決算
2023年3月期3Q累計(4-12月)の連結最終利益は49.7億円と発表、前年同期比6.4%減となりました。(2023年1月31日の決算発表にて)
今後について
厳しい業績が続いていましたが、構造改革の効果もあり、2022年3月期は営業利益が大きく回復・配当も復配、最終損益は特別損失の影響で大きく赤字となりましたが、2023年3月期は黒字回復見通しとしています。
今後はさらに経営効率の改善・事業改革を加速させるために持ち株会社制を解消、原材料の高騰など厳しい要因もありますが、技術力は高いものを持っています。