武田薬品工業(4502)の株価が長期で下落しており中々厳しい状況です。株価が下落したこともあり配当利回りが高いですが、果たして今後の武田薬品工業の株価と配当がどうなるのか。業績推移・株価チャート・配当推移を分析してみました。
- 巨額買収により売上は大きく上昇、2021年3月期は利益回復見通し
- 配当金は据え置き予定で高い配当利回り
- 国内最大、世界でも上位の巨大製薬企業
武田薬品工業の事業内容と株価指標
はじめに武田薬品工業の事業内容と株価指標を確認していきます。
株価指標と配当利回り
株価:3,371円
予定年間配当:180円
年間配当利回り:5.34%
予想PER:42.5倍
PBR:1.13倍
2020年11月4日終値時点のデータ
PERは割高、PBRはやや割安です。年間の配当利回りはかなり高いです。
武田薬品工業(4502)とは
武田薬品工業株式会社(たけだやくひんこうぎょう、英文:Takeda Pharmaceutical Company Limited)は、日本の製薬会社である。タケダ、Takeda、武田薬品とも略称される。日経平均株価及びTOPIX Core30の構成銘柄の一つ。
日本の医薬品企業での売上高は1位であり、世界の医薬品企業の売上高順位(2016年)では16位である。連結売上高の約9割を医療用医薬品売上が占め、消化性潰瘍治療薬、制癌剤等を主力製品とする。
武田薬品工業 – Wikipediaより抜粋
国内の製薬メーカーとしてトップ。シャイアー社を買収したことで世界10位以内に入り巨大製薬企業の仲間入りをしています。
武田薬品工業の業績推移と株価チャート
次に武田薬品工業の業績推移と株価チャートを確認していきます。
売上高・経常利益の推移

2015年3月期は赤字でしたが、その後回復し2018年1月までは比較的好調でした。流れが変わったのは2018年2月の決算にて利益を従来予想から下方修正、さらに2018年3月末にアイルランドの製薬大手「シャイアー社」のM&Aを検討、2019年1月に約6兆2000億円を投じてシャイアーの買収が完了しています。
株価チャートの推移
下記は武田薬品工業5年分の週足株価チャートの推移です。

2018年1月ごろをピークに株価は下落しています。業績下方修正・シャイヤー社買収の巨額費用などの影響で下落。現在の株価も安値圏で推移しています。
武田薬品工業の配当推移と決算内容
次に武田薬品工業の配当推移と決算内容を確認していきます。
配当金の推移
下記は武田薬品工業の配当推移です。年2回、中間配当(9月)と期末配当(3月)を実施しています。

2016年3月期:180円
2017年3月期:180円
2018年3月期:180円
2019年3月期:180円
2020年3月期:180円
2021年3月期:180円(予)
武田薬品工業は30年間減配を行っていません。配当金額は10年ほど180円で据え置きです。
配当方針ですが、CoreEPSという考えを重視しているため、すぐに大きく減配する可能性は低いです。しかし、配当性向はここ数年100%超えることも多く、この先も減配しないとは言い切れないです。
決算内容について
2020年10月29日の決算にて2021年3月期2Q累計(4-9月)の連結経常利益は1,255億円と発表、あわせて通期の同利益を従来予想の2,300億円から2,580億円に上方修正しています。1Q決算にて2,000億円から2,300億円に上方修正しており、再度の上方修正です。
武田薬品工業の今後の株価について
最後に武田薬品工業の今後の株価について考えてみます。
株価上昇ポイントと下落ポイント
プラス材料として元々国内最大手の製薬会社でしたが、シャイアー買収により世界でも売上上位に入り、この先さらに注目される大企業になったことです。2020年3月期は大きなリスクを取りましたが、2021年3月期は大きく黒字見通しで復活する可能性は高いです。
マイナス材料としてはシャイアー買収がこの先どこまでプラスに働くか見えない部分が多い事です。買収金額に見合った利益となるかは現時点では分からないです。医療・製薬関係全ての会社に当てはまることですが、開発力が大きく業績に影響します。臨床試験結果で思ったような結果が出なくて試験が停滞や中止となった場合には、将来の収益に大きな悪影響を与えます。また、競合他社に特許を獲得され開発競争に遅れをとることもリスクとなる場合もあります。
武田薬品工業が2015年3月期に赤字となった主な原因は訴訟に対する和解金などでした。これは武田薬品に限らず積極的に海外展開する大企業にとっていつ発生するか分からないリスクの一つです。