メガバンク3行が業績の伸び悩みから人件費削減・業務効率化を進める中、通常の銀行とはやや異なるセブン銀行(8410)。はたして今後の株価と配当はどうなるのか、業績推移・株価チャート・配当推移を分析してみました。
- 株価指標に目立った割安感はないが、配当利回りは高い
- 株価は長期で下落しており判断が難しい
- 配当は据え置き予定だが配当性向は上昇する見通し
セブン銀行の事業内容と株価指標
まずはセブン銀行の事業内容と株価指標を確認していきます。
株価指標と配当利回り
株価:239円
予定年間配当:11円
年間配当利回り:4.6%
予想PER:12.2倍
PBR:1.23倍
2021年2月19日終値時点のデータ
指標に目立った割高感は無く、年間配当利回りは高いです。
セブン銀行(8410)とは
株式会社セブン銀行(セブンぎんこう、英称:Seven Bank, Ltd.)は、大手流通企業グループ「セブン&アイ・ホールディングス」傘下の日本の銀行。
コンビニATM事業最大手である。旧商号は株式会社アイワイバンク銀行。日本国内のほかにアメリカ合衆国やインドネシアにもATMを展開して事業を行っている。
主な収益源は、セブン&アイのグループ各店舗に設置した現金自動預け払い機(ATM)により、提携先金融機関や利用者から得られる利用手数料である。また、セブン&アイHLDGS.を始めとする事業者と個人から受け入れた自社預金は、国債・政府保証債など信用リスクの低い商品に限定して運用する。同社はATMによる決済(現金出納サービス)専業銀行という新しいビジネスモデルといえる。
セブン銀行 – Wikipediaより一部抜粋
通常の銀行と大きく異なる点は「提携金融機関等からの手数料が利益の多くを生み出す」という点です。預かったお金はリスクの低い商品に限定して運用しています。通常の銀行は銀行ごとに方針の違いがありますが、基本は「集めたお金を貸し出し、そこで生まれる利子」が主な利益です。セブン銀行は利益の生み出し方が通常の銀行と異なります。
セブン銀行の業績推移と株価チャート
次にセブン銀行の業績推移と株価チャートを確認していきます。
売上高と経常利益の推移

経常利益は大きく伸びてはいないですが比較的安定推移です。2020年3月期は若干の増収・減益、2021年3月期は減収・減益見通しです。
株価チャートの推移
下記はセブン銀行5年分の週足株価チャートの推移です。

約3年ほど株価が下落レンジで推移しています。
以前は期待値の大きさから株価が上昇していましたが、先の成長期待度がやや小さくなったことなどが原因でココス年の株価は弱いです。
セブン銀行の配当金と配当性向の推移
次にセブン銀行の配当金と配当性向の推移を確認していきます。
配当推移について
下記はセブン銀行の配当金推移です。年2回、中間配当(9月)と期末配当(3月)を実施しています。

2016年3月期:8.5円
2017年3月期:9円
2018年3月期:10円
2019年3月期:11円
2020年3月期:11円
2021年3月期:11円(予)
配当は年間11円で据え置いています。
セブン銀行の株主還元方針は「現金による継続的な安定配当の実現ができるよう努力」、「配当性向については年間40%以上を最低目標」です。
配当性向の推移
下記はセブン銀行の配当性向推移です。
2016年3月期:40.9%
2017年3月期:42.6%
2018年3月期:47.0%
2019年3月期:99.0%
2020年3月期:49.6%
2021年3月期:56%(予)
2019年3月期の配当性向は海外子会社の特別損失を計上した影響で高くなっていますが、それ以外は配当方針通りと言えます。2021年3月期は利益減少の影響で配当性向が上昇する見通しです。
セブン銀行の決算内容と今後について
最後にセブン銀行の決算内容の確認と今後について考えていきます。
決算内容を確認
2021年2月5日の決算にて2021年3月期3Q累計(4-12月)の連結経常利益は287億円と発表。通期計画の328億円に対する進捗率は87.6%となりました。想定よりは悪化していない印象です。
今後の動きについて
外出自粛などの影響で一時、駅ATMの利用者数が大きく減少しました。今後はネット通販増加やスマホ決済の影響もあり現金よりもクレジットカードなどを利用する機会が増える可能性があります。
セブン銀行の収益柱は「ATMプラットフォーム事業」です。多くのATMがセブンイレブン店舗にあり、セブンイレブンの店舗数がそのままATM設置台数です。現在のセブンイレブンの店舗数は年々増え続け国内では2万店舗を超えています。
まだまだ勢いは止まらないですが、この先永久に国内で増え続けるのは難しいです。日本人は諸外国と比較しても現金主義の人も多く、現状はどこまでキャッシュレスが普及するのか見えにくい部分もありますが、現金を使う人が減ることでATMを利用する人が減った場合、ATMが収益の柱であるセブン銀行への影響は大きいです。
しかし、セブン銀行も何もしていないわけではなくPayPayとのATM連携サービスをはじめさまざまな提携を進めて今後に備えています。仮に時代の変化が訪れた時、その変化に対して事前に準備し、しっかり対応できるかが業績のカギとなります。