ゆうちょ銀行(7182)の株価は上場以降、下落しています。株価が下落したことで株価指標は割安・高配当利回りですが、業績は悪化しています。果たしてゆうちょ銀行の今後の株価と配当はどうなるのか。業績推移・株価チャート・配当推移を分析してみました
- 株価指標は割安だが銀行銘柄と考えると比較的ある水準
- 配当を維持予定で高利回り
- 利益は伸び悩み、将来は売り出し(PO)が決定しているので難しい部分がある
ゆうちょ銀行の事業内容と株価指標
はじめにゆうちょ銀行の事業内容と株価指標を確認していきます。
株価指標と配当利回り
株価:851円
予定年間配当:50円
年間配当利回り:5.88%
予想PER:11.8倍
PBR:0.29倍
2020年12月11日終値時点のデータ
株価下落によりPBRはかなり割安です。しかし、銀行銘柄と考えると見かける水準とも言えます。配当利回りはかなり高いです。
ゆうちょ銀行(7182)とは
郵政民営化の準備に伴い、2006年9月1日に準備会社として株式会社ゆうちょが設立。2007年10月1日に株式会社ゆうちょ銀行に商号変更して発足。
貯金残高約180兆円で、三菱UFJ銀行の預金残高約149兆円を抜き、2018年9月30日現在で国内最高の残高である。
都市銀行には含まれていないものの、みずほ銀行以外で全国47都道府県全てに店舗(支店・出張所)を有しているのはゆうちょ銀行のみである。
2015年11月4日に持株会社の日本郵政株式会社とともに東京証券取引所第一部に上場し、日本郵政株式会社の保有する株式の11%が市場に売却された。
全国2万4000箇所余りに上る郵便局内での窓口業務は日本郵便に委託し、委託先の郵便局(簡易郵便局を含む)の貯金窓口は、ゆうちょ銀行の代理店(銀行代理業務・金融商品仲介業務)として業務を行っている
ゆうちょ銀行 – Wikipediaより抜粋
日本郵政が保有する「ゆうちょ銀行株」は早期に売却をすることが定められていますが、未だに全株式(自己保有株式分を除く)の89%を保有しています。
ゆうちょ銀行の業績推移と株価チャート
次にゆうちょ銀行の業績推移と株価チャートを確認していきます。
売上高と経常利益の推移

利益は伸び悩んでいます。2021年3月期は上方修正を行い、当初の予定より悪化しない見通しです。
株価チャートの推移
下記はゆうちょ銀行の5年分の週足株価チャート推移です。

2015年11月に上場し初値は1,680円で売出価格の1,450円を上回りました。その後、数カ月は順調でしたが2016年1月に世界同時株安、マイナス金利の導入発表で株価は大きく下落。
その後はやや株価を戻しレンジで推移していましたが、かんぽ生命の問題以降は日本郵政グループに対して厳しい見方が強く株価下落しています。現在の株価も底値付近です。
ゆうちょ銀行の配当推移と決算内容
次にゆうちょ銀行の配当金の推移と決算内容を確認していきます。
配当金の推移
下記はゆうちょ銀行の配当金の推移です。年2回、中間配当(9月)と期末配当(3月)を実施しています。

2016年3月期:25円
2017年3月期:50円
2018年3月期:50円
2019年3月期:50円
2020年3月期:50円
2021年3月期:50円(予)
配当金は年間50円で推移しています。
配当方針として中期計画にて「2020年度末までは1株当たり年間配当50円を確保」としています。配当性向は2019年3月期が70.4%、2020年3月期が68.6%です。2021年3月期の予想配当性向は約70%です。配当性向の高さを考えると今後の配当にはやや不安があります。
決算内容について
2020年11月13日の決算にて2021年3月期2Q累計(4-9月)の連結経常利益は1,720億円と発表、あわせて通期の同利益を2,750億円から3,750億円に上方修正、期末一括配当は50円予定としています。
ゆうちょ銀行の今後の株価について
最後にゆうちょ銀行の今後の株価について考えていきます。
今後について
国債利息の減少に伴い、運用の多様化一環として国際分散投資を進めています。外国証券の運用比率が年々増えていますが、為替変動の影響を受けることになります。
また、ゆうちょ銀行株は日本郵政が大量に保有しているため、新規業務を行うのに許可が必要です、さらに日本郵政に対して多額の委託手数料(2019年3月期は約6,000億円、2020年3月期は郵政管理・支援機構への拠出金を含め同じく約6,000億円)を支払っています。
近い将来、日本郵政はゆうちょ株を売り出すことが決定しています。現状ではゆうちょ銀行の業績は厳しいですが、日本郵政の手を離れて、業務や委託手数料の問題が改善されたら伸びしろはあるかもしれません。