日本最大の預金金融機関のゆうちょ銀行(7182)。今後の株価と配当はどうなるのか、業績推移・株価チャート・配当推移を分析してみました。また、株主優待制度も見ていきます。
- 割安・高配当だが銀行銘柄と考えると目立ってはいない
- 株価は下落推移から抜けて上昇
- 日本郵政の方針で判断が難しい部分もある
ゆうちょ銀行の株価情報と業績推移
ゆうちょ銀行の株価情報と業績推移を見ていきます。
株価指標
株価:1,220円
予想PER:14.29倍
PBR:0.5倍
予想EPS:85.38円
時価総額:4兆5,744億円
2023年3月3日終値時点のデータ。
最新の株価参考:(株)ゆうちょ銀行【7182】:Yahoo!ファイナンス
PBRはかなり割安ですが、銀行銘柄というのを考えると割と見かける水準です。
業績の推移
下記はゆうちょ銀行の売上高・経常利益・最終利益の推移です。

売上・利益ともに伸び悩んでいましたが、2022年3月期は減益見通しから大きく上方修正して回復。
2023年3月期は減益見通しとしています。
株価の推移
下記はゆうちょ銀行の5年分の週足株価チャートです。

株価は2018年以降、かんぽ生命の問題などもあり日本郵政グループに対して厳しい見方が強く下落。
2021年からは、業績回復見通しや株主優待新設などの影響もあり大きく上昇するタイミングがあり、2023年も上昇しています。
ゆうちょ銀行の配当情報と株主優待
ゆうちょ銀行の配当情報と株主優待制度を見ていきます。
配当情報
2023年3月期の予定年間配当:50円
予想年間配当利回り:4.1%
高い年間配当利回りです。
配当金の推移
下記はゆうちょ銀行の配当金推移です。

2018年3月期:50円
2019年3月期:50円
2020年3月期:50円
2021年3月期:50円
2022年3月期:50円
2023年3月期:50円(予)
年間配当は50円の据え置きで推移しています。
配当性向は2022年3月期が52.7%、2023年3月期の予想が約58%です。
株主還元方針の確認
配当方針は「中期経営計画期間中(2021年度~2025年度)は、配当性向は50%程度とする方針」、「安定性・継続性等を踏まえ、配当性向50~60%程度の範囲を目安」としています。
2022年3月期の年間配当は47円に減配予定でしたが、据え置きに修正。以前の方針は「2020年度末までは1株当たり年間配当50円を確保」としており、今後は利益次第では減配する可能性も想定されます。
参考:株主還元|ゆうちょ銀行
株主優待について
ゆうちょ銀行の株主優待制度は「オリジナルカタログ(3,000円相当コース)」です。優待権利月は3月、500株以上保有が対象で2022年3月末から実施しています。
500株保有で3,000円相当とした場合、優待利回りは約0.5%です。
ゆうちょ銀行の事業・決算内容と今後について
ゆうちょ銀行の事業・決算内容の確認と今後について考えてみます。
ゆうちょ銀行(7182)とは
株式会社ゆうちょ銀行(ゆうちょぎんこう、英: Japan Post Bank Co., Ltd.)は、普通銀行である。
郵政民営化の準備に伴い、2006年9月1日に準備会社として株式会社ゆうちょが設立。2007年10月1日に株式会社ゆうちょ銀行に商号変更して発足。
貯金残高約189兆円で、三菱UFJ銀行の預金残高約182兆円を上回り、2021年3月31日現在で国内最高の残高である。
ゆうちょ銀行 – Wikipediaより抜粋
2015年11月4日に持株会社の日本郵政株式会社とともに東京証券取引所第一部に上場、日本郵政株式会社が保有する株式の11%が市場に売却されました。
日本郵政が全株式の約89%を保有していますが、中期経営計画(~2025年度)にて期間中の出来る限り早期に50%以下を目指しています。
決算内容を時系列に確認
2022年3月期の連結経常利益は4,908億円と発表。2023年3月期の同利益は4,450億円見通し、年間配当は50円予定としています。(2022年5月13日の決算発表にて)
2023年3月期1Q決算
2023年3月期1Q(4-6月)の連結経常利益は1,204億円と発表、前年同期比26%減となりました。(2022年8月10日の決算発表にて)
2023年3月期2Q決算
2023年3月期2Q累計(4-9月)の連結経常利益は2,201億円と発表、前年同期比32.4%減となりました。(2022年11月11日の決算発表にて)
2023年3月期3Q決算
2023年3月期3Q累計(4-12月)の連結経常利益は3,443億円と発表、前年同期比12.7%減となりました。(2023年2月14日の決算発表にて)
今後について
国債利息の減少に伴い、運用の多様化一環として国際分散投資を進めています。外国証券の運用比率が年々増えていますが、為替変動の影響などリスクも増えることになります。
業務許可・委託手数料
ゆうちょ銀行株は日本郵政が大量に保有しているため、新規業務を行うのに許可が必要です。
さらに、日本郵便に対して多額の委託手数料を支払っています。(郵政管理・支援機構への拠出金を含め2021年3月期が約6,000億円、2022年3月期が約5,900億円)
株式売出について
ゆうちょ銀行株を大量に保有している日本郵政ですが、2021~2025年度の期間内に「保有割合を50%以下とすることを目指す」としています。
2023年2月に最大10億8900万株の売出を発表、保有割合が89%から60%程度まで低下する見通しです。目指す位置を考えると更に売り出しされるのも想定されます。
将来性について
2022年3月期は国際業務部門の資金運用収益が想定以上に好調で業績が回復。将来、日本郵政の保有割合が減り業務制限や委託手数料の問題が改善されれば伸びしろは大きいです。
しかし、簡単に解消される問題ではなく、他のリスクが発生する可能性もあります。