実質的に国の管理下にある東京電力ホールディングス(9501)。今後の株価・配当はどうなるのか、株価指標・業績推移・株価チャートなどを分析してみました。
- 配当は無配継続、しばらくは無配の可能性が大きい
- 思惑で株価が上昇することもあり
- 不透明感はまだまだ強い
東京電力の株価情報と業績推移
東京電力ホールディングスの株価情報と業績推移を見ていきます。
株価指標
株価:452円
予想PER:—
PBR:0.27倍
予想EPS:-197.86円
時価総額:7,264億円
2023年2月28日終値時点のデータ。
最新の株価参考:東京電力ホールディングス(株)【9501】:Yahoo!ファイナンス
PBRはかなり割安です。
業績の推移
下記は東京電力ホールディングスの売上高・営業利益・経常利益・最終利益の推移です。

震災以降は多額の資金援助を機構(実質的な国)から受けて特別利益とし、賠償金を特別損失として相殺し赤字決算を避けています。
2022年3月期は燃料価格上昇によるコスト増で大きく減益、2023年3月期は大きく赤字予想としています。
株価の推移
下記は東京電力ホールディングス5年分の週足株価チャートです。

株価は震災後、「2,000円台が一時100円台まで急落」して上場来最安値を記録。投資機関が保有株を売却、原子力損害賠償支援機構を割当先とする優先株式発行の影響もあり大きく下落しました。
その後は、500円前後で推移していましたが2019年から再度下落。2022年以降では原発再稼働の動きが強まったことで株価が上昇も、まだまだ厳しい推移が続いています。
東京電力の配当情報と事業・決算内容
東京電力ホールディングスの配当情報と事業・決算内容を見ていきます。
配当金について
東京電力ホールディングスは2011年3月期末以降、配当を実施していません。
「賠償金や廃炉費用、公的資本の回収手法と併せて検討していく」としていますが、まだまだ先が見えていない状況です。賠償金・廃炉費用などの膨大さを考えると、配当が復活するのは2030年以降となる可能性もあります。
東京電力ホールディングス(9501)とは
東京電力ホールディングス株式会社(とうきょうでんりょくホールディングス、英: Tokyo Electric Power Company Holdings, Incorporated)は、電力事業を行う企業グループである東京電力グループの事業持株会社である。。
電気事業法の一部改正によって、2016年4月1日から、家庭用電力の小売り全面自由化に対応するため、同年同日に持株会社体制へ移行して社名変更した。
福島第一原子力発電所事故の復旧および損害賠償のために、日本国政府による公的資金が注入され、認可法人である原子力損害賠償・廃炉等支援機構が議決権の過半数超(潜在的には3分の2超)を有する大株主となっている。同機構は実質的に国の機関であり、当社は同機構を介して半国有化され、国の管理下にある。
東京電力ホールディングス – Wikipediaより抜粋
原発事故への対応を第一としていますが、その関連費用(賠償金・廃炉・除染費等)は莫大で、実質的に日本国政府が資金援助をしています。回収が終わるのは最長で2051年予測としていましたが、2064年予測に試算し直されており明確な時期は見えていないです。
決算内容を時系列に確認
2022年3月期の連結経常損益は449億円と発表。2023年3月期の業績見通しは非開示、配当は無配継続予定としています。(2022年4月28日の決算発表にて)
2023年3月期1Q決算
2023年3月期1Q(4-6月)の連結経常損益は489億円の赤字と発表、前年同期は184億円の黒字のため赤字転落しています。(2022年8月2日の決算発表にて)
2023年3月期2Q決算
2023年3月期2Q累計(4-9月)の連結経常損益は2,388億円の赤字と発表、前年同期は1,013億円の黒字のため赤字転落しています(2022年11月1日の決算発表にて)
業績見通し発表
2023年3月期の連結経常損益を5,020億円の赤字見通しとしています。(2023年1月23日の業績見通し発表にて)
2023年3月期3Q決算
2023年3月期3Q累計(4-12月)の連結経常損益は3,538億円の赤字と発表、前年同期は722億円の黒字のため赤字転落しています。(2023年2月1日の決算発表にて)
東京電力の今後について
東京電力ホールディングスの今後の株価上昇ポイントと下落ポイントについて考えてみます。
東京電力のこれまでと今後
2011年3月11日に発生した震災に伴う福島第一原子力発電所の事故、放射性物質の漏えい等の責任が重く、経営改革に力を注いでいます。原子力発電所の事故による賠償や廃炉費、汚染水処理などに掛かる費用は膨大です。
復活への厳しい道
原子力発電に対して厳しい目があるため、現実的に考えると火力発電が主となります。そのため、液化天然ガス、原油、石炭などの価格変動リスク、温暖化ガス削減への取り組みなど、こちらも問題を抱えています。
原発再稼働の動きで株価上昇も
原発再稼働の動きで株価が上昇するタイミングがありますが、その見極めは難しいです。仮に再稼働となれば収益力回復の期待が大きいので株価が上昇していると考えられ、いわゆる「噂で買われている」状態と言えます。