売上・利益が増えて業績が好調、企業からすれば良い事です。
しかし、業績が良いから株価が上がるかと言うと、そうでは無いケースも多いです。今回は「業績と株価の関係について」考えてみます。
- 業績が良いから株価が上がるものではない
- 投資では人気を避けるのも一つの方法
- とにかく疑う、考えることが重要
株価の基本
そもそも「株価とはどういうものか」、基本的な事をあらためて確認します。
業績=株価ではない
株価は株を買いたい人と売りたい人の「需要と供給」で成り立っています。
「売上・利益ともに前年比プラス」は良い事ですが、必ずしも業績で株価は決まらないです。
株価は予想で動くことが多い
株価は様々要因(材料)で動きます。ニュースに反応して大きく上昇、下落することもあれば、ジワジワと上昇、下落することもあります。
基本的には「現在の状況」よりも「今後どうなるか」の方が大きく株価に影響します。
業績予想と発表
業績好調(増収・増益)を発表しても「株価が上昇する銘柄」、「株価が下落する銘柄」が存在します。そのメカニズムは非常に複雑です。
株価の形成には様々な要因が絡まっており、そのメカニズムは極めて複雑である。
株価決定の最大の要因は企業業績で、好調な企業の株価は上がり、不調な企業の株価は下がるとされているが、実際の相場では、好調な業績が発表されても投資家がこれ以上の成長は期待できない(好材料が出つくした)と判断すれば売りが優勢となり株価は下落する。
反対に業績の悪化が発表されても投資家がこれ以上の業績の低下はない(悪材料が出つくした)と判断すれば買いが優勢となり株価は上昇する。
株価 – Wikipediaより抜粋
投資評価とは
「増収・増益予定で過去最高益を更新する見通し」の銘柄は雑誌やWEBサイト、調査機関の投資判断も「強気」と紹介されることが多いです。逆に減収・減益だと弱気のケースが多いです。
当たり前ですが「売上・利益が増加予定」の企業は評価が高く、「売上・利益が減少予定」の企業は評価が低くなります。
株価には将来の期待値が込められていることが多いです。評価が高い銘柄は既に多くの投資家に注目され株価が上昇している可能性があります。
業績好調は買いのチャンスではない?
次に「株を買う、株を売る」投資のタイミングを考えてみます。
増収・増益は手遅れのケースが多い
増収・増益予定で評価の高い企業の株は、既に株価が上昇し割高なケースも多いです。株価は好調な業績が前提(織り込み済み)となっています。
もちろん、予想以上に好調となれば株価が更に上昇することもあります。しかし、決算で好調を発表しても「材料出尽くし」による利益確定売りで株価が下落するケースも多いです。
材料出尽くしとは、予想された相場変動させる要因が現実のものになること。
悪材料が出尽くすと、予想段階で既に相場に織り込まれて下がっているので相場は反発することが多く、逆に好材料が出尽くしは反落することが多くなっています。
材料出尽くし|大和証券
減収・増益はチャンスの場合もある
増収・増益企業は多くの人が注目しているため、投資ではこのような人気銘柄を避けるのも一つの方法です。
そのため、「売上高が減少し利益が増加」などのケースが投資チャンスになるケースもあります。
業績変化の理由を知ることが重要
当然ですが、なぜ売り上げが減少したのか・利益が増えたのか、その要因を探ることが大切です。「利益率上昇を目的に不採算部門を圧縮」というのは、よく見られるものです。
売上減少が将来どのように影響するのかを考えることが重要です。判断がとても難しいですが、このような銘柄こそチャンスがあります。
減収・減益の「陰の極」(いんのきょく)
また、「減収・減益」企業の中にも投資チャンスとなる銘柄が眠っていることもあります。
減収・減益が続いている企業は株価が下落していることが多く、リスクが高いため初心者は避けた方が良い銘柄です。
しかし、投資格言には「陰の極」(いんのきょく)というのがあります。
陰の極とは
相場が下げ続け、これ以上下げようがないという水準の状態。
人気がなくなり、これ以上下げようがないといった状態まで株価が下がり、売買高も極端に少なくなった状態を「陰の極」と言います。
陰の極では、売り物が出尽くしているため、絶好の買い場となるチャンスとも考えられることから、株式市場では「陰極まれば陽転す」とも言われています。
誰が考えてもその銘柄にとっていい材料がなく、悪いニュースばかりが目立つ時こそ、陰の極であり、相場が上昇に向かう時期なのです。ただし、会社が倒産してしまっては、もちろんこの限りではありません。
陰の極とは何?Weblio辞書より抜粋
「業績が上向く気配がない」、「株価が底の方で推移している」。そのような銘柄は注目されていないので、逆にチャンスとなる場合があるというものです。
しかし、赤字が続いていれば当然、倒産・上場廃止となる可能性もあるため銘柄選びは非常に難しいです。
長期的な事を考えた場合、業績が伸びている企業の方が有利な点が多いです。しかし、あまり注目されていない銘柄を選ぶのも一つの方法です。
最後に
株式投資は簡単ではなく、甘くもないです。「業績の良い企業の株を買えば確実に儲かるという簡単な物では無いです」。
では、業績の悪い企業の株を買えば良いのかと言われると、それも違います。
疑う事
業績はもちろん重要です。しかし「何事もまずは疑う事、慎重になる事」が投資の基本です。
「材料出尽くし」は「本当に材料が出尽くしたのか」、「陰の極」は「本当にこれ以上下げようがない状態なのか」疑うことが重要です。
冷静・慎重に判断
特に、良い事しか書いてない、良いニュースしかない。逆に、悪いニュースしかない。そのような銘柄ほど慎重に判断するべきです。