現在の日本は超低金利で銀行にお金を預けてもまったく増えないです。それどころか、この先はお金を預けるのにお金がかかる時代となる可能性が高いです。
金利がほとんどないのは当たり前のように感じますが、1990年代のバブル時代には定期預金の金利が5%以上の時もありました。そのころは「銀行にお金を預けておくだけで、その金利(利子)だけで暮らす。」ということが理論的には可能でした(元手はかなり必要ですが)。
現在、日本の銀行にお金を預けてその金利で生活するのはほぼ不可能です。
しかし、金利の高い「FXのスワップポイント」で生活することは理論的には可能です。果たして、FXの金利で生活するには資金がいくらあれば可能なのか、又、現実的なのかを考えてみます。
スワップポイントとは
FXのスワップポイントは通貨によっては年間利回りが高いのに加えて、レバレッジをうまく使うことでさらに利回りを上げることができます。もちろん、レバレッジは諸刃の剣ですが。
スワップポイントは通貨で大きく異なる
取引する通貨によってスワップポイントは大きく異なります。そのため、通貨により必要な資金は大きく変わります。
比較的安全な通貨、リスクのある通貨それぞれメリット・デメリットがあります。
メジャー通貨のスワップポイント狙い
通貨の安全性を重視するとメジャー通貨が一番初めの候補になります。ということで、「米ドル円のスワップポイント」でまずは考えて見ます。
米ドル円の長期チャート
下記は2002年からの米ドル円の長期チャートです。

リーマンショックで大暴落しましたが、とてつもなく下落してそのまま戻ってこない可能性はかなり低いです。もちろん、将来、リーマンショックのような通貨の大暴落が起きないとはいえないです。
米ドル円のスワップポイント
現在、米ドル円のスワップポイントは業者により大きく異なりますが1万通貨保有で1日50円もらえる業者が複数あります。(中には20円程度の業者もあります)
1米ドル110円と仮定して、獲得できるスワップポイントは下記の表となります。
元手110万円 | 年間スワップポイント |
---|---|
1万通貨(レバレッジ1倍) | 18,250円 |
3万通貨(レバレッジ3倍) | 54,750円 |
7万通貨(レバレッジ7倍) | 127,750円 |
レバレッジ3倍ではリーマンショック時の75円付近までいくと強制ロスカットの可能性があります。そのため、3倍以内が長期保有での限界ラインです。レバレッジ3倍で運用する場合、スワップポイントを年間150万円獲得するには約3,000万円必要です。
もし「ドル円は100円以下にならない!」という自信がある場合はレバレッジ7倍くらいまでいけるので約1,300万円で年間150万円のスワップポイントを手に入れることができます。もちろん、これはかなり危険な掛けですが。
米ドル円スワップポイントの注意点
気を付けるべき点としては今後のアメリカの政策金利があります。現在利下げが進んでおり、今後も利下げする可能性が高く、利下げによりスワップポイントが少なくなります。
実際にドル円のスワップポイントは以前1日80円近くの業者がいくつかありましたが現在は下がっています。
高金利通貨のスワップポイント狙い
次に、高金利通貨のスワップポイント狙いを考えてみます。
トルコリラ円のスワップポイント
現在、多くのFX業者で取り扱いのある通貨の中で一番スワップポイントが良いのはトルコリラ円になります。1万トルコリラ円の保有で1日50円以上のスワップポイントが付く業者があります。
1トルコリラ19円と仮定して、獲得できるスワップポイントは下記の表となります。
元手19万円 | 年間スワップポイント |
---|---|
1万通貨(レバレッジ1倍) | 18,250円 |
3万通貨(レバレッジ3倍) | 54,750円 |
7万通貨(レバレッジ7倍) | 127,750円 |
同じスワップポイントを獲得するのに必要な資金は米ドル円の5分の1以下です。
レバレッジ1倍とした場合でも年間150万円を手に入れるには約1,500万円です。レバレッジ3倍で運用すれば約500万円です。
こうして机上の空論を描くと「日本人がトルコリラなどの高金利通貨を保有する」理由がわかります。仮にレバレッジ3倍で運用すると3年ちょっとで資産が倍になるのです。
トルコリラは失敗している人が多い
しかし、実際はそんなに簡単ではないです。
私もトルコリラを少し保有し、毎月トルコリラのスワップポイント運用報告をしていますが、スワップポイント以上に通貨の下落が大きく常にマイナスです。
5-6年ほど前、トルコリラ円が40-50円台で推移してた頃からスワップポイントを手に入れることを考え、多くの人が3倍前後のレバレッジでトルコリラ円を保有していました。
結果、30円を下回り、20円も割り込む形となりました。40円台で保有していた多くの人が強制ロスカットされ、多くのトルコリラのブログが閉鎖、又はトルコリラから撤退していきました。そのような過去を考えると今後10円以下になる可能性はないと全く言い切れません。
また、アメリカ以上に利下げのペースが早くこの高金利はいつまで続くかわからないです。
最後に
トルコリラ円を保有する自分が言うのもなんですが、300万円近くが無くなる覚悟でトルコリラに投資するのはかなりリスキーだと考えています。他の高金利通貨である南アフリカランド円、メキシコペソ円も同様です。
高金利通貨は「何もしなくても生活できるだけのスワップポイントがもらえる」夢があるかもしれません、それも比較的現実的な金額です。
しかし、高金利のスワップポイントに1点投資をしてしまうと夢が幻想になってしまう可能性が高いです。
スワップポイント狙いの投資は株の配当狙いと同様に長期保有を前提としています。株と違い、倒産する(通貨がなくなる)可能性は特にメジャー通貨ではかなり低いです。しかし、金利がなくなる可能性は当然あります。
あくまでも無理のない範囲での分散投資の一つとしてはありだと考えています。