相場が下落している、下落しそうなときに言われるのが「ディフェンシブ銘柄を保有するとダメージが少ない。」と言う言葉です。
ディフェンシブ銘柄というのは景気の変動を受けにくく、相場全体が大きく下がってもつられて下がる率が比較的軽くすむ可能性があるため、リスクを減らすのに有効とされています。
そのような相場全体の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄を探すのに役立つのがベータ値です。今回は、ベータ値とはなにか、気を付けるポイントなどを解説していきます。
ベータ値とは
相場全体に対して個別銘柄がどれだけ連動して動いたのかを数値化したものがベータ値です。
例えば市場が1%上昇した時、対象の株価も1%上昇したらベータ値は1です。市場が1%上昇した時、2%上昇したらベータ値は2となります。
このベータ値は過去のデータを元に算出されることから、ヒストリカル・ベータと呼ばれたりもします。
計算式
ベータ値の計算式はものすごくシンプルです。
β = 個別銘柄のリターン(IRtn) ÷ 市場のリターン(Mrtn)
市場の株価、個別の株価は常に動いているため、ベータ値を算出する場合は過去の一定期間の平均を使い算出します。例えば、SBI証券のスクリーニングのヒストリカル・ベータ値は過去60週のデータからベータを計算しています。
ベータ値が大きく変わる場合もある
ベータ値はある程度の期間の平均を出しますが、将来も必ず同じくらいのベータ値と言うわけではないです。さまざまな要因で変わることは当然あります。
例えば、値がさ株のファーストリテイリングですが、10年前くらいはどちらかというとベータ値が小さかったですが、現在は日経平均に大きな影響を及ぼすのでベータ値が1に近い数値で推移しています。
あくまでも過去のデータを元にした数値になります。
ベータ値を見るときに気を付ける点
ベータ値を見るときに気を付ける点は2つあります。
1つ目はベータ値がマイナスの銘柄です。これは上場して間もない、もしくは業績不振の企業が多くベータ値があまり参考にならないです。
2つ目は事件などで大きく下落した銘柄です。事件などで大きく下落するとその後の株価は市場平均とは関係なく動くことが多く、この場合もベータ値が参考にならないことが多いです。
ベータ値が高い業種、低い業種
日本経済新聞のWEBサイトでは過去3年のデータを元にしたベータ値をランキングで見ることができます。電力、ガス、食品関係などはベータ値が小さい銘柄が多く、よくディフェンシブ銘柄として紹介されるのも納得です。
反対に、ベータ値が高いのがサービス業、電気機器関係の銘柄です。中にはベータ値が2を超える銘柄もあり、市場平均の2倍以上値上がり、値下がりする可能性があります。
相場の反発するポイントを見極めることができればこれらベータ値の大きな銘柄は大きなリターンを手にできます。逆に動いたら大きな損失になる可能性もあるため、リスクも倍ですが。
業種内でも値が異なる
例えば、食品関係でもニチレイ、ヱスビー食品はベータ値が約0.5と低めですが、ヤクルト、キッコーマンはベータ値が1に近い数値です。
※過去3年のデータ参考
同じ業界でも景気に敏感に反応しやすい銘柄、しにくい銘柄があるので見極めが必要です。また、今後の業績展開をどのように考えているかにより将来ベータ値が上がったり、下がったりする可能性はあります。
最後に
当然ですが、ベータ値だけでは銘柄を選ぶことはできません。
どちらかというと業績や株価のトレンド、その他いくつかの要因からディフェンシブ銘柄を選び出し、そのあとの確認で参考にするものとして便利な指標です。