「噂で買って事実で売る」と言う投資格言は「どのような意味」で「どう役に立つのか」。
実際の株価の動きを見ながらメリット・デメリットを含め確認してみます。
噂で買って事実で売るとは
「噂で買って、事実で売る」の基本を見ていきます。
「噂」とは何か
株式投資で言う「噂」は言葉通りの「たんなる噂」もあれば、「予想」や「期待」を示すこともあります。
噂(期待)の例
「製薬会社が新薬の開発に成功と言うニュース」で株価が跳ね上がることがあります。
しかし、新薬に限らず新しいものは開発成功後も実用化まで何段階も手順があり、業績に貢献するまで時間がかかります。
そのため「将来大きく成長するかもしれない」という「期待」で株価が上昇している状態です。
「噂で買われている」状態とは「需要増加期待」、「業績上昇期待」などあくまでも「予想」や「期待」から株価が上昇していることです。
思惑買い
また、具体的な株価上昇要因のない中で、憶測や予測で銘柄を買うことを「思惑買い」とも言います。
参考:思惑買い|野村證券
「事実」とは何か
「事実」とは実際に起きた出来事です。多くは「業績に反映」しているものを指し、代表的なものだと決算内容が事実の一つです。
織り込み済み
期待から既に株価が上昇している時、業績好調でも株価が下落するケースがあります。
それが「事実で売られている」状態の一つです。織り込み済みともいわれます。
Buy the rumor, sell the fact
「噂で買って事実で売れ」とは元々は「Buy the rumor, sell the fact」の英文を和訳したものです。
参考:Buy the rumor, sell the fact(噂で買って事実で売れ)とは|iFinance
噂で買われた例
次に、実際に噂で買われた時の株価チャートを見ていきます。
噂で買われる時の株価チャート
下記は2020年の日経平均株価の日足チャートです。
2020年3月に大きく株価が下落しています、多くの銘柄の株価がかなり下落しました。
下記は同じ期間の富士フィルムホールディングス(4901)の株価チャートです。
3月は他の銘柄同様に大きく株価が下落しましたが、4月に大きく株価が上昇しています。この時、さまざまな「噂(期待)」によって買われ株価が急上昇していました。
その後は様々な「期待」と「事実」により売られたり、買われたりしています。
事実で重要となる「月次データ」と「決算」
事実として重要な「月次データ」と「決算内容」を見ていきます。
月次データとは何か
月次データとは主に「飲食店」、「小売店」が毎月公表する「毎月の売り上げデータ」です。
前年同期比で増えたのか、減ったのか。公表している企業もあれば、公表していない企業もあります。速報データと呼ばれ、直近の早い情報です。
決算内容とは何か
決算内容とは3カ月ごとに発表される情報です。売上・利益など細かい内容も掲載されます。
月次データよりも遅めの情報です。
月次データ・決算内容と株価の動き
「月次データ・決算内容」と「株価の動き」の関連性を見ていきます。
月次データ・決算内容と株価チャート
下記は、王将フードサービスの2020年の日足株価チャートです。
2020年7月30日に1Q決算を発表。前年同期比で大きく業績が落ち込んだ影響で株価が急落。
決算前に既に業績悪化を懸念して株価が下落していましたが、想定以上の悪化で株価が大きく下落しました。
月次情報で回復
その後、2020年8月4日に月次売上高の速報(7月データ)を発表。
前年同期比でマイナスでしたが、株価が既に大きく下落していたことに加え、売上が回復してきているのを受けて株価が上昇しました。
株価と情報の関係について
株価は単純に「決算内容が悪くて下落」、「月次データが悪くて下落」しているわけではないです。
どこまで織り込まれているかが重要
株価が大きく上昇しているとき、決算内容が良くても株価が下落する場合もあります。反対に、決算内容が悪くても、既に株価が大きく下落していたら上昇することもあります。
つまり、噂段階での株価の動きが重要となります。
また、噂や事実で短期的に大きく株価が動いたとき、長期保有ではチャンスとなる可能性もあります。