株価が高いのか安いのかを判断する指標は多くあります。その中でも「国全体の株式市場」で買われすぎなのか(過熱度)を知る指標の一つに「バフェット指数」があります。
今回は「バフェット指数の基本と有効性」、「日本株のバフェット指数の推移」や「メリット・デメリット」について考えてみました。
バフェット指数(バフェット指標)の基本
バフェット指数の基本と日本株式のバフェット指数について確認していきます。
バフェット指数とは何か
バフェット指数(バフェット指標)とは有名な投資家であるウォーレン・バフェット氏が「国全体の株が買われすぎているか(過熱度)」の判断材料にしていると言われるものです(諸説あり)。
「その国の株式に投資する価値があるのか」、「割高か割安か」を判断する材料となる指数と言われています。
バフェット指数の計算方法
バフェット指数の算出方法は簡単です。「株式市場の時価総額÷その国の国内総生産(GDP)× 100」です。
株式市場の時価総額は簡単にいうと「上場企業を全て買うのに必要なお金」、GDPは「国内で生み出された付加価値の総額」です。
バフェット指数の根拠
先進国では株価とGDPが密接に関係していると考えられており、「GDPが上がっていないのに株価が上がる(バフェット指数が上昇)のは不自然で、いつか株価が下落する」という考えが、この指数の根拠です。
一般的に、バフェット指数はおおよそ100%以上から割高、85%以下から割安の目安といわれています。
日本株のバフェット指数の推移
下記は日本株のバフェット指数の推移です。日本の場合、株式市場の時価総額はプライム上場銘柄の時価総額を利用します。
長期のバフェット指数チャート(年単位)
2016年10月以降、日本のバフェット指数は高い位置で推移。長期間を高い位置で推移するのはバブルの頃までさかのぼります。
バフェット指数チャート(月単位)
2020年3月に株価が暴落した際はバフェット指数が大きく下落しましたが、その後は日経平均株価が大きく上昇したため、高い位置で推移しています。
バフェット指数は有効?メリット・デメリットは何か
バフェット指数は昔からある指標ですが、指標には必ずメリットとデメリットがあります。
バフェット指数のメリット
バフェット指数のメリットは100%を超えて数値が高いほど加熱と言う分かりやすさと、過去の暴落前には100%を大きく超えていたという事実があります。
将来も必ず有効かどうかはわかりませんが、バブル崩壊をはじめ、2000年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショック、2020年3月のコロナショックも100%を超えていました。
大きな暴落前はバフェット指数が100%を超えています。
バフェット指数のデメリット
バフェット指数のデメリットは100%を超えたから直ぐに暴落が来るというわけではないことです。バブルの頃も140%を超えても株価が上昇しています。
バフェット指数が高い時は、いつ暴落が来てもおかしくないですが、明確な時期を見極めれるものではなく、あくまでも危険性が高まっているという状況です。
GDPの不透明感
もう一つのバフェット指数の問題点はGDPを利用していることにあります。
GDPは詳細な計算方法が公開されておらず、毎年計算基準などの見直しがされているため、そもそもGDPの数値自体が問題視されることがあるのも事実です。
極端な言い方をすると「今年は暴落する」と毎年言い続ければいつかは当たります。重要なのは「いつ起きるのか」で、そのタイミングはバフェット指数では分からないです。
最後に
過去のデータをみるとバフェット指数が100%を超えているからすぐに株価が下がる。100%以下だから株価が上がる、ということではないです。
過去の事実
100%を超えてからバブル崩壊、リーマンショック、コロナショックで株価が暴落したのも事実です。
コロナショック前には「バフェット指数は長期間100%を越えているので、もう古い。参考にならない」という声もありました。しかし、実際に暴落がおきました。
有効活用の考え
あくまでも「長期間100%が続いているときに警戒」し、一つの目安として過熱気味かどうかの判断材料とするのが良いです。
そして、バフェット指数はあくまで市場全体(国)を見たものです。個別の銘柄では当然動きが異なってきます。
警戒はするものの過信は禁物
日本株でのバフェット指数は2021年以降、高い数値で推移しています。過去には3年以上高い推移が続いたこともあるため、暴落が起きるとは言い切れないです。しかし、警戒心は持っておいても良いかもしれないです。
また、100%の位置は現状だと日経平均株価が大体19,000円あたりと言うのも認識しておくと良いかもしれないです。