日本の個別株の株価は1株100円以下から1万円以上と幅が広いです。「100円以下は安い、1万円以上は高い」みたいな判断基準は株にはありません。
今回は「株価が割安なのか・割高なのか」の判断材料として使われることが多い、「PER(株価収益率)」と「PBR(株価純資産倍率)」の基本とその有効性について考えてみます。
- PERとPBRは株価の割安度を測る基本指標
- 多くの人が参考にしているが完璧ではない
- あくまでも参考指標の一つ、将来性など数値以外も確認する事が重要
PERとPBRの基本
まずは「PER」と「PBR」の基本を確認していきます。
PER(株価収益率)とは何か
株価収益率は株価を一株当たり当期純利益で割ったものであり、次の式で求められる。
株価収益率 = 株価 ÷ 一株当たり当期純利益
利益が減ると、株価収益率は増加することとなる。一般に株価収益率が業界平均値と比較して高いときは、当該企業の株価は割高とされる。
株価収益率 – Wikipediaより一部抜粋
PERとは、株価を1株当たりの利益で割ったものです。「現在の株価が1株当たりの利益の何倍にあたるか」というものです。
PERを株主の視点で見ると
PERを分かりやすく言うと「会社が生み出した利益を全て配当に回した場合、何年で元が取れるか」です。
例えば、PERが20倍の会社があったとします。その会社が毎年同じ利益を出し、利益の全てを配当に回したら「20年分の配当で投資金額を回収できる」と言うわけです。
PERは低いほど割安
PERが10倍の場合は10年分の配当で回収できます。つまり、PERが低いほど早く投資資金が回収できるので「PERが低いほど割安な株」ということになります。
業績予想に対して算出することが多いため「予想PER」という使われ方が主です。
PERは予想利益に対して、割安か判断するものです。
PBR(株価純資産倍率)とは何か
株価純資産倍率は、一株あたり純資産に対する株価の倍率を測る指標である。以下の式で求められる。
株価純資産倍率 = 株価 ÷ 一株あたり純資産
一般にPBRが1倍であるとき、株価が解散価値と等しいとされ、それ以下だと割安株として扱われる。
株価純資産倍率 – Wikipediaより一部抜粋
PBRとは、株価を1株当たりの純資産で割ったものです。「現在の株価が1株当たりの純資産の何倍にあたるか」というものです。
PBRを簡単に言うと
「PBRが1倍だと、株価と会社の価値が同じ」という事です。
そのため、PBRが1.0倍以下の場合、理屈的には会社を解散して資産を株主に分配すると、株価以上の価値になるということです。あくまでも理屈的にですが。
つまり「PBRが低いほど割安な株」といえます。
PBRは会社の資産に対して、割安か判断するものです。
PERとPBRのメリットとデメリット
次にPERとPBRのメリットとデメリットを考えてみます。
PERとPBRのメリット
PER、PBRともに意識する投資家、投資機関が多いです。基本指標なので雑誌やWebサイトに当然のように記載されています。
業績に問題がない割安株は特集などで注目されることもあります。
長年使われている指標で参考にしている人が多いのは、上手く利用すればメリットの一つとなります。
PER、PBRのデメリット
デメリットとしては、成長企業には当てはまることが少なく、両指標がかなりの割高水準であっても株価がさらに上昇することがあり、全ての銘柄で有効とはいえない点です。
あくまでも参考指標
また、割安企業の中には「業績伸び悩み」、「将来性が低い」などの割安な理由がはっきりとある企業も存在します。
当然ですが「割安だから株価が上がるとは言えない」です。
割安だから株価が上がる、割高だから株価が下がるとは言えないです。割安な理由・割高な理由を考えることが重要です。
PERとPBRの具体的な数値目安について
PERとPBRの数値目安を考えてみます。
目安と利用法の基本
PERやPBRはそれぞれ単体の数値で見るのではなく、他の銘柄と比較したり、他の指標と組み合わせることが重要です。
割安・割高とは
割安・割高という言葉は比較対象を考えることが基本です。
例えば、「1個40円、3個100円」で売られている商品があるとします。この場合、「3個まとめて買った方が1個当たりの金額が割安」のようにです。
実際の数値を確認
PERは14-20が適正値とされますが、業種により平均値が大きく異なります。また、金融系は自己資本比率が低いため、PBRはほぼ意味がないです。
PERやPBRを見るときは市場平均や業種平均、同業他社と比較するのが基本です。
狙い目・避けた方がよいPERやPBRとは
ここまでを振り返り、狙い目や避けた方がよいPERとPBRを考えてみます。
株価上昇の可能性があるPERとPBRとは
株価上昇の狙い目となるのは、PER・PBRのどちらか一方が市場平均や同業種と比べて低く、どちらか一方が高い場合と考えられます。
アンバランスな状態はチャンスの可能性
PERが高くPBRが低いというのは「業績見通しは悪いが会社には資産がある」状態です。
将来的に業績が復活すれば株価が上昇する可能性が高いです。また、TOB(買収対象)となる可能性もゼロではないです。
反対に、PERが低くPBRが高いというのは「業績見通しが良いが会社にあまり資産がない」状態です。注目度が低い企業が眠っていることもあり注目されると株価が上昇する可能性があります。
単純に指標を見るのではなく、なぜその数値なのかを考えることが重要です。
株価下落の可能性があるPERとPBRとは
株価下落の危険性があるのは、PER・PBRともに市場平均や同業種と比べてかなり低い、またはかなり高い場合と考えられます。
割安過ぎる状態とは
注目度や将来性が低いため、株価が上昇するには特別な好材料が出てこないと難しく、いつまでも割安なままで放置されている銘柄もあります。
株価が下落するというよりは上昇しにくい。と言う方が正しいかもしれないです。
割高すぎる状態とは
注目度が高く、成長期待値も高いので株価の上昇余地が小さい可能性があります。もちろん、更に超割高まで上昇することもあります。
しかし、割高のまま上昇し続けるケースは少なく、どこかで株価の下落がはじまると大きく下落することもあり、注意が必要です。
割安と紹介される銘柄の中には長年株価が上昇せず、常に割安なケースもあります。
さいごに
割安判断の指標は他にもたくさんありますが、あくまでも指標であり単体で完璧なものはありません。
数値は大切だが数値以外も重要
指標を見る前に、会社が行っている事業内容や方針を見て将来性や今後の成長余地を考える。
そこにプラスアルファとして「さまざまな指標を他銘柄と比較し」購入タイミングとして利用するのが良い方法です。
あくまでも参考
当たり前ですが、いくら割安でも株価は下がる時があります。同様に割高でも株価は上がる場合があります。
指標だけで株価が上がるか下がるか完璧に分かるものはありません。