「騰落レシオ」とは何か、基本の確認に加えて日本株(東証1部)で有効なのか。メリット・デメリットを分析してみました。騰落レシオは市場全体で見て、株が買われすぎているのか、売られすぎているのかを判断する材料として見られます。
- 騰落レシオは簡単で分かりやすい目安
- 使い方次第では有効になる可能性はある
- あくまでも目安の一つ、当てはまらないケースもある
騰落レシオとは何か
まずは「騰落レシオとは何か」、基本を確認していきます。
騰落レシオとは
騰落レシオとは、市場の値下がり銘柄数に対する値上がり銘柄数の比率から、 市場での買われすぎ、売られすぎ等の状態や、市場参加者の過熱感(強気、弱気)を見る指標として用いられる。
(25日間の値上がり銘柄数の合計)÷(25日間の値下がり銘柄数の合計)×100
を計算した25日騰落レシオが、よく利用される。100ポイントを大きく上回った場合は買われすぎ。強気。
騰落レシオ – Wikipediaより抜粋
100ポイントを大きく下回った場合は売られすぎ。弱気。
と判断する。
簡単にいうと「値上がりした銘柄数が多ければ騰落レシオは上がる」、「値下がりした銘柄数が多ければ騰落レシオは下がる」というものです。金額は関係ないです。
騰落レシオが上昇している時は市場参加者全体で見ると強気、下落している時は弱気と言えます。
騰落レシオの計算方法について
騰落レシオの計算方法は、「値上がり銘柄数の合計」÷「値下がり銘柄数の合計」×100です。
具体的な計算
2022年1月14日から1月21日までの東証1部の騰落レシオを計算してみます。
期間内6日分の累計値上がり銘柄数は4,790、値下がり銘柄数は7,847です。
4,790÷7,847×100の計算結果の61.04が2022年1月21日の「6日騰落レシオ」です。
買われても騰落レシオが下がる・売られても騰落レシオが上がる場合も
翌日の騰落レシオは6日前(上記では1月14日)のデータと入れ替えて、当日のデータを入れます。
2022年1月14日の値上がり銘柄数は503、値下がり銘柄数は1,599です。
値下がり銘柄数が1,600以上でないと騰落レシオは下がりません。
値上がり銘柄数が多くても騰落レシオが下がるケースもあります。
騰落レシオ確認参考サイト:騰落レシオ日経平均比較チャート
騰落レシオのメリット・デメリット
騰落レシオのメリット・デメリットを確認していきます。
騰落レシオのメリットについて
騰落レシオのメリットは「分かりやすさ」にあります。
過去のデータを見ると80以下になった場合、その後の株価が上昇する。120以上になった場合、その後の株価が下落するというケースが多く出ています。
あくまでも過去のデータですが、該当するケースが多いです。
騰落レシオのデメリットについて
騰落レシオのデメリットは「必ず当てはまるわけではない」ことです。
これは騰落レシオに限らず、どのテクニカルにも言えることです。100%的中する完璧なものはありません。あくまでもそういう傾向があるというものです。
特に暴落時は多くの指標が参考にならず、騰落レシオが大きく下落したが、株価は更に下落を続けたというケースも当然あります。
あくまでも参考指標の一つで、必ず当てはまるわけではないです。
騰落レシオは本当に有効なのか検証
実際のデータから騰落レシオが有効なのか・どのように利用できるのかを見ていきます。
騰落レシオと日経平均株価の関係について
下記は2021年12月8日から1月21日の「25日騰落レシオ」と「日経平均株価」のグラフです。

騰落レシオが80を下回り弱気になった後にやや日経平均株価が上昇しています。とはいえ、目立った感じではないです。
同じく、下記は2021年9月1日から10月13日のグラフです。

騰落レシオは130を大きく越えて、かなり過熱気味に推移していました。その後、大きく日経平均株価が下落しています。
騰落レシオの昔と今
10年以上前は騰落レシオが80~120の間で動くことが多く「80近くは売られすぎなので買い、120近くは買われすぎなので売り」と言われていました。
しかし、現代では騰落が偏りやすく130を超えても株価が上昇し続けることがあり、暴落時には騰落レシオが80以下になってもさらに株価が下落するケースもあります。
2020年2月は騰落レシオが80以下になりましたが、その後も株価は下がり続け、2020年3月には騰落レシオが40近くまで下落しました。
騰落レシオの活用法について
騰落レシオの活用法について考えてみます。
現代ではそのままでは難しいか
騰落レシオに限らず、テクニカル分析は時代につれて変化していきます。昔は有効でも現代では「そのままではなかなか機能しない」のもたくさんあります。
そのため、騰落レシオが80以下だから買いではなく、騰落レシオ以外の指標も合わせて確認して、今の時代に合わせて利用方法を変化させるのが良いです。
あくまでも指標の一つとして参考にして他の要因も考え、「必ず当てはまるわけではない」と認識することが重要です。
最後に
テクニカルは相場の先読み分析に不可欠ですが、あくまでも相場の一面です。
騰落レシオは相場の強気、弱気の判断ができますが、あくまでも相場全体を見る一つの指標です。
「騰落レシオが下がりすぎているので、これから株価が上がる」と安易に判断はできないです。テクニカルだけでなく、他にも様々な要因を合わせて判断することが重要です。