7月から9月くらいまでの投資アノマリー(経験則)で、有名なものに「サマーラリー」と「夏枯れ相場」の2つがあります。
今回はこの2つのアノマリー(経験則)と過去の株価推移から夏の投資戦略について考えてみます。
- アノマリーというのはあくまでも過去の法則
- アノマリーを後から当てはめることは簡単だが事前に予想するのは困難
- どんなときも「失敗」や「想定外」の可能性を認識することが重要
夏の代表的なアノマリーについて
まずは「サマーラリー」と「夏枯れ相場」を簡単に確認していきます。
サマーラリーとは
米国の株式市場において、7月から9月までの夏場にかけ株価が上昇しやすい現象のこと。
具体的には7月4日の米国独立記念日から9月第1月曜日のレーバーデーまでの期間を指し、バカンスに入る前に投資家がボーナスなどで株を買いだめするためなどともいわれる。
サマーラリー|野村證券より抜粋
夏場に株価が上昇しやすい現象が「サマーラリー」です。
日本の株式市場は米国の株式市場の影響を大きく受けるため、米国株が上昇すると日本株もつられて上昇する傾向にあります。
また、日本株では「9月末の優待狙いが本格化する」ことも上昇しやすくなる要因の一つと言われています。
夏枯れ相場とは
夏になるとお盆休みなどで市場参加者が減るため株式市場の取引高が減少し、相場があまり動かなくなること。
また、夏枯れ相場の一番安値のことを「夏底」という。
夏枯れ相場|野村證券より抜粋
市場参加者が減ることで取引高が減少するため、株価があまり動かないのが「夏枯れ相場」です。
アノマリーは当てはまるのか?
「サマーラリー」と「夏枯れ相場」に限らないですが、アノマリー(過去の経験則)が当てはまらないケースも増えています。また、日本市場には当てはまらない、期間が違うなど諸説あります。
実際の日本市場の株価チャートを確認
下記は日経平均株価の週足株価チャート推移です。

過去5年分の株価推移をみると7月、8月頃からはどちらかというと2022年以外は「夏枯れ相場」という印象で、その後の9月、10月頃に株価が上昇している印象を受けます。(2022年は反対の動き)
暴落・暴騰アノマリー?
アノマリーというわけではないですが、株式市場の「暴落や暴騰は事前に予想されていない」ことがほとんどです。
2020年、2021年の株価について
2019年末に「2020年3月に日経平均16,000円台が来ると事前に予想した人は皆無」で、むしろ25,000円を超えるという予想が多かったです。
そして、2020年3月の株価暴落時には「2020年6月に日経平均が23,000円台まで戻り、2021年に30,000円まで届く」という予想をした人も私は知りません。逆にしばらく20,000円台に届かない予想が圧倒的に多かったです。
「株価が大きく下落する」、「株価が大きく上昇する」という予想が多いときは何も起きないか、むしろ正反対のことが起きる印象です。
夏場に株価は上がるのか、下がるのか
夏場の株価について考えてみます。
確実に株価を予想できる人はいない
「近年の傾向を見ると夏場は相場の動きが弱め」です。しかし、2022年は過去と反対の動きをしています。
もちろん、年により相場に対する印象(期待感・警戒感)が異なり、他の要因も合わせて考えることが重要です。
あくまでも相場全体の傾向であり、個別銘柄では強い材料が出れば時期は関係なく、大きく上昇することも下落することもあります。
反対の行動をとることも
株に限らず投資では、上がる!と騒がれると買いたくなり、下がる!と騒がれると売りたくなります。
売買するそのタイミングはとても難しく、完璧にわかる人といないと考えています。重要なのは「完璧にわかる人はいない」という部分です。これを認識していないと周りに流される可能性があります。
個人的には、周りがどのように行動しているかを一歩引いた目線で見て「慌てずに」しっかり考え、時には周りと反対に行動することで吉と出ることが多いのが一番のアノマリー(経験則)です。