「損を確定させる損切りはしない」という意見もありますが、株式投資で失敗するパターンの一つが「損切りできない」というのも事実です。
今回は「株式投資の損切り」について、投資格言や投資心得から必要性・重要性を考えてみました。
- 損切りは必ず必要というわけではない
- 株式投資の理想の一つは永久に株式を保有すること
- 「個人投資家」の投資が上手い人は損切りもうまい
損切りの基本について
まずは「損切りとは何か」の基本を見ていきます。
損切り(ロスカット)とは
損切り(そんぎり、ロスカット、Cut Loss)とは、含み損が生じている投資商品を見切り売りして損失額を確定すること。
投資の後に評価額が下落した場合、難平や塩漬けするとさらに下落が続いて損害が拡大する可能性がある。撤退するための明確な根拠を持って早めに損切りを行うことは、損失の拡大を防止し、資金を守る方法として重要といわれる。
損切り – Wikipediaより抜粋
損切りは「処分売り」とも言われます。投資商品は株式に限らず、値上がりする可能性、値下がりする可能性があります。そして、価値が無くなることもあります。
値下がりした時に「明確な根拠」をもって売却することで損失の拡大を防ぐことが出来ます。これが損切りです。
正しい損切り
投資商品を購入する際、正しいか間違っているかは別として、自分のルールを決めるべきです。そのルールの一つが「どこまで上昇したら売るのか」、「どこまで下落したら売るのか」です。
「事前に設定したポイントまで下落したので損切り」というのは正しい損切りの一つと言えます。逆に、これ以上損をしたくないから慌てて損切りするというのは正しくない損切りとも言えます。
永久に売却しないのも一つのルール
株式投資の場合、「配当金」があるため上昇しても下落しても「永久に保有する」のも一つの手です。しかし、「上昇したら売る」と決めているのに「下落したら売らない」では辻褄が合わないです。
ルールは人それぞれで100%の正解は無いです。しかし、ルールが無い人は同じ失敗を繰り返す可能性があります。
損切りは必要なのか?なぜ損切りは難しいのか
損切りは本当に必要なのか、損切りの難しさについて考えていきます。
損切りは必要?
投資手法は人それぞれです。使える金額、投資期間など大きく異なります。永久に株式を保有する「利益を確定させない」を一つの投資とした場合、「損切りをしない」のも一つの考えとして見ることが出来ます。
しかし、「損切りしない」のと「損切りできない」のでは意味が全く異なります。
損切りができない理由
投資初心者のうちは損切りが簡単にできません。理由は簡単で、株式投資はお金を減らすためではなく、増やすために行っているからです。
中には投資でマイナスになったことが無いという人がいます。実は損切りをしたことが無いだけで含み損をたくさん抱えているケースも多々あります。
損失を確定する「損切り」行為は簡単にできないです。
損切りルールの難しさ
損切りした後に株価が上昇することも当然あります。その時に「損切りしなければ良かった」と思ってしまうとドンドン損切りが出来なくなります。
投資は一回ではなく、トータルで考えることが重要です。また、損切りルールは人により異なるもので明確な答えは無いと個人的に考えています。
投資は合理的な理由だけでうまくいくものでもない
「100円下落したら損切りする」というルールを設定した場合、許容損失額を設定しているという見方をする人もいれば、自分の保有した株価から100円下落というポイントに「合理的な理由がない」とする人もいます。
しかし、株式投資は合理性だけを追求すれば利益が出るという簡単なものでもないです。これはトレンドラインなどの指標を利用する場合も同様です。過去の指標はあくまでも参考値で、それが全てではないという意見もあります。
投資の上手い人はどのように考えているのか
「投資が上手い人」の損切りに対する考えを見てみます。
投資の手法は人それぞれ
誰もが知っている著名な投資家は沢山いますが、株式投資と言えば「ウォーレン・バフェット氏」が思い浮かびます。
バフェット氏は気に入った銘柄は永久に保有すると一般には思われていますが、実はしっかり見切りも行います。2020年5月には保有していた航空株をすべて売却したことを発表しています。
損切りしない投資家とは
日本にも有名な投資家が沢山いますが、あくまでも私の知っている範囲ですが、個人投資家で損切りをしないが株式投資が上手い人はいません。
保有期間、投資の目的などは人それぞれなので、損切りがダメと言うわけでは無いです。
損切りの格言について
次に「損切り格言」を確認していきます。
見切り千両、損切り万両
一番有名な格言が「見切り千両、損切り万両」です。簡単に言うと利益を確定することよりも損切りする方が価値があるというものです。
損切りを嘆くな、褒めろ
損切りとは「自分の間違いを認める行為」です。上がると思っていたものが下がったのですから自分の予想が外れたことになります。
損切りをした自分の間違いを嘆くのではなく、「よく損切り出来た」とほめるべきだとする格言です。
利食い急ぐな、損切り急げ
投資では焦って行動することは厳禁とされています。暴落したので慌てて購入したらさらに大暴落がきた、というのは良くある話です。
焦らず冷静に行動することが重要ですが、損切りの場合は「株を買う」、「利益確定」とは異なり、時として素早い判断が求められるというものです。
最後に
私は「投資が上手い人=損切りが上手い」と考えています。重要なのは「損切りできる人=投資が上手い」ではない事です。
損切り貧乏
損切りするけど投資が上手くいかない人も沢山います、いわゆる「損切り貧乏」と呼ばれるものです。
損切り貧乏の人は「損切りが早すぎる」もしくは「損切りが遅すぎる」のどちらかです。また、損切り貧乏な人は利益確定も「早すぎる」、「遅すぎる」場合がほとんどです。
判断ミス
一番多い投資失敗パターンは「利益確定は早いが損切りが遅い」です。
損切りの損失を埋めるほど他の銘柄では利益を伸ばすことなく利益確定してしまえば資金はドンドン減っていきます。
株式投資で重要なのは損小利大。損は出来るだけ小さく、利益は出来るだけ大きくです。
損切りが絶対に正解とは言えない
「損切りが重要」という話はどこでもよく見かけます。間違いではないですが、必ずしも正解とも言えないです。
資金が潤沢にある投資信託会社の中には損切りを行わないケースもあります。大企業や日経平均銘柄を主に組み込み銘柄としている投資信託の場合、複数銘柄を大量に定期的にナンピン出来るため、ある程度の損は他銘柄で補える許容範囲としています。
損切りを薦める理由とは
証券会社は損切りを薦めるケースが多いです。
その理由は明確で「取引回数」を増やすためです。取引してもらうことで手数料が入る証券会社は資金が拘束される「塩漬け」を嫌います。
物事は色々な角度から見ることで形が変わって見えます。もちろん、投資商品が異なれば、とるべき行動も大きく異なります。