数年前より企業がインターネット上で資金を調達する「ソーシャルレンディング」がその規模を伸ばしています。しかし、規模が大きくなると同時に債務不履行などトラブルも目立つようになってきました。今回はソーシャルレンディングのメリット・デメリットから現時点で私がソーシャルレンディングをやらない理由を記載します。
- ソーシャルレンディングは元本保証ではなくそれなりのリスクがある
- 高配当はソーシャルレンディング、株に限らずよく考える必要がある
- 将来の期待値は高いが現状では様子見
ソーシャルレンディングの基本
はじめにソーシャルレンディングの基本を確認していきます。
ソーシャルレンディングとは
ソーシャルレンディングとは『ネット上でお金を借りたい人、企業』と『ネット上でお金を貸したい人、企業』を結びつける融資仲介サービスである。類似のサービスに、投資型クラウドファンディングがある。貸金業法の金銭消費貸借契約を伴うものや株式投資型などの形態がある。
ソーシャルレンディング – wikipediaより抜粋
ソーシャルレンディングは「融資(貸付)型クラウドファンディング」とも呼ばれます。簡単にいうと「お金を融資する」ことです。銀行が企業にお金を貸して利子をもらうのと同様に、個人が(ソーシャルレンディング業者を通して)企業にお金を貸して利子をもらうことです。簡単にすると下記の図のようなイメージです。

市場規模は年々拡大しており、2014年度は150億円規模だったものが2018年度はおよそ10倍の1,500億円規模になっています。日本での認知度も上昇していますが、欧米では既にかなり浸透している仕組みです。
ソーシャルレンディングのメリットとデメリット
次にソーシャルレンディングのメリットとデメリットを確認していきます。
ソーシャルレンディングのメリット
ソーシャルレンディングの一番のメリットは金利(配当)が高いことです。
年間利回りにすると約3%から、中には10%近い高い利回りの商品もあります。銀行にお金を預けても全く増えない時代ですから、高配当利回りは非常に大きいメリットです。
また、基本的に何もしなくてよいところもメリットの一つです。株やFX・金や仮想通貨などと違い価格の変動はしないので、ただ時が過ぎるのを待つだけです。また、比較的少額から始めることができる(中には1万円~)のもメリットの一つです。
ソーシャルレンディングのデメリット
ソーシャルレンディングの一番のデメリットはハイリスクの商品があることです。
ソーシャルレンディング業者を通して一般の人から高い金利でお金を集める。というのは金利の低い銀行の審査を通ることが出来ない可能性が高いからです。銀行の審査は一定基準があり、社歴の浅さなどから借りることが出来ないケースもあり、全ての企業がダメというわけではないです。
しかし、中には業績不振になり「金利(配当)が払えない」どころか、「元本すら戻ってこない」というケースもあり金融庁からの警告も出ています。また、借り手保護のため具体的な投資先を知ることができないのもデメリットです。
そのため、リスク判断を「ソーシャルレンディング業者まかせ」になります。一部のソーシャルレンディング業者が行政指導、ひどいものだと業務停止命令を受けています。商品の特性上、投資家はソーシャルレンディング業者の評価を信じるしかなく、業者の判断が甘いと痛い目を見るのは判断をした業者ではなく投資をした人です。
参考:ソーシャルレンディングへの投資に当たってご注意ください|金融庁
個人的な見解
ココからはあくまでも個人的な見解です。
現状でソーシャルレンディング投資を見送った理由
人気商品は受付開始で即完売となるケースもありますが、現状では前例が少なくハイリスクな商品も多いのが実状です。当然、元本保証もないです。比較的安全で高金利という認識で行うのはとても危険と考えられます。
商品の最終形は「配当を受け取り、期間の満了で元本が戻ってくる事」です。株などと違いキャピタルゲイン(売却益)はありません。仮に10商品に同じ金額を分散投資した場合、全ての商品の金利が10%だとしても1商品が貸し倒れして原本が戻ってこないとマイナスになる可能性があります。
株でも同様に倒産し株券が紙切れになるケースもありますが、中には株価が上がる可能性もあり、他の損失を補える可能性があります。もちろん、リーマンショックやコロナショックのようにほとんどの銘柄が下落する可能性もあります。
また、仮想通貨の場合、素早く動いたことで大きな利益を手にした人がいます。しかし、ソーシャルレンディングは仮に1年遅れても取り逃がすのは最大でも10%程度です。つまり、慌てる必要はないのです。
将来的な期待値は高い
近年、大手のソーシャルレンディング業者が信頼度を上げるため、比較的金利が低め(3%前後)の商品でリスクの低い企業に限定した商品も出てきています。確かに、それくらいの金利であれば企業側からすると場合によっては銀行よりも低い金利になり、投資家からすると銀行に預けるよりはるかに高い金利のため、理にかなっています。
例えば、クレジットカード会社や家賃保証会社は数%回収できない前提で成り立っている商売です。同じように仮に数%の貸倒れリスクであれば多くの商品に分散投資することでリスクを減らすことが出来ます。
欧米では浸透している制度で、これからの時代にあっているので市場規模は年々大きくなっています。現状ではリスクが高く見送るのが得策だと考えていますが、将来は有力な投資先の一つとなる可能性は有りそうです。