相場には多くの先人が残した「投資格言」があります。相場が荒れている時ほど格言を思い出し行動することで失敗を回避できたりします。今回は格言の中でも「相場が下落しているときに意識する2つの格言」を確認していきます。
- 落ちてくるナイフはつかむな、頭と尻尾はくれてやれは相場下落時に意識する
- 底値を見極めるのは非常に難しい。焦って行動するのではなく落ち着くことが重要
- 相場が荒れているときはあえて何もしないのも個人投資家の強みの一つ
相場下落時(株価下落時)に意識する2つの格言
はじめに相場下落時に意識する二つの投資格言を簡単に紹介していきます。
落ちてくるナイフはつかむな
「落ちてくるナイフはつかむな」とは、株価が急落しているときに株を買うのは落ちてくるナイフをつかむようなもので、とても危険だという相場格言です。どんなに安くてお買い得だと感じても、しっかりとナイフが床に落ちたのを確認してから拾うべきというものです。
相場は一度暴落すると、その暴落が大暴落を呼ぶことがしばしばあります。2018年の年末、2020年の3月も一度下落した後、更に大きく下落しました。例えるなら「20%引きのシール」が貼ってあったので飛びついて買ったらすぐに「50%引きのシールが貼られた」という状態です。
「株価2,000円のものが1,500円まで下落したから買う」、「株価2,000円のものが1,500円まで下落し、さらに1,000円まで下落したが1,500円まで戻ってきたので買う」。購入価格は同じ1,500円ですが、一度底を確認してから購入するのが良いというものです。
頭と尻尾はくれてやれ
これは「落ちてくるナイフはつかむな」につながる格言です。底をついたのを確認してから購入した場合、当然ですが最安値(尻尾)で買うことはできません。また、株を売るときも買う時同様、どこが天井になるか見極めるのはとても難しく、売った後さらに株価が上がることはよくあります。
底値で買い、天井で売るのは理想ですが現実的にはほぼ不可能に近いです。それを狙うのではなく底値や天井にこだわらず、胴体だけは逃さないというのが「頭と尻尾はくれてやれ」です。簡単に言うと欲張らないということです。
底値を探る方法をしっかりと意識する
「落ちてくるナイフはつかむな」、「頭と尻尾はくれてやれ」。このどちらの格言も底値を確認してから欲張らずに少しの利益を積み重ねるのが重要と言う格言です。とはいえ、底値を確認したつもりでも底値かどうかは後になってからしか分からないです。
底値の判断となる材料を知っておく
過去のチャートをみて「ここが底値だった」というのは簡単ですが、リアルタイムで底値から抜けたかを判断するのは難しいです。底値を探る指標としてRSIや騰落レシオなどの指標を参考にするのが一つの手です。これらの指標は必ずしも当たるわけではないですが、判断材料の一つとして利用できます。気を付ける点として暴落時にはあまり信用しすぎないことです。
指標やチャートのテクニカル分析など、底値を判断する材料を知っておくことは武器を持つことになります。情報は使い方次第ですが、強力な武器となることがあります。
本能は時としてマイナスに働く
分からない事や分からないものに遭遇した時、人はとても警戒するという本能を持っています。この警戒心という本能があったからこそ人間がこれまで生き延びてきたとも言えます。しかし、投資の世界ではこの本能がマイナスになることがあります。
株価が暴落したとき、この警戒本能によりリスクを回避しようとした行動で大暴落がおきます。しかし、この大暴落時こそ最も利益を手にすることができるチャンスです。
とはいえ「暴落した今がチャンスだ!」と思っている時は、同じように考えている人が多いので、実はチャンスではないのです。実際のチャンスは「もうだめだ、どこまで下がるか分からない」と誰しもが買いたく無いと思った時です。
本能的にリスクを回避したいという感情が広がった時こそ、真のチャンスなのです。これは株価上昇時にも同じことが言えます。株価が上昇しているときに「乗り遅れたくない」とつい買ってしまいます。ここからどんどん上がるぞ、と誰もが買いたいという感情を持っているときこそ株を売るべきなのです。
さいごに
長く相場で生き残るコツはどれだけ本能に逆らうことができるかです。
安くなれば当然買いたくなります。それは儲け損ねるのが嫌だからという感情が働くからです。場合によってはこの感情を抑えて、相場下落時はあえて見送るのも一つの手です。
保有株が少ないなら「荒れているとき」や「今後の不安が広がっている」時に無理に売買する必要はないです。数カ月相場から離れるという選択肢も個人投資家なら問題なく取れるのが強みの一つです。
「株の利益は我慢代」と言われることもあります。これはどれだけ「買うのを我慢できた」か、「売るのを我慢できた」かが利益につながるという意味です。