株式を選ぶ基準で「配当」を意識する人はたくさんいます。特に長期保有を考えた場合、重要な材料の一つです。
今回は自身の経験談も含め「高配当利回り銘柄の減配リスクや投資リスク」などを考えてみます。
- 株価下落で高配当利回りはリスクが高めの銘柄もある
- 増配で将来高利回りになりそうな銘柄を保有するのも高配当投資
- 配当だけでなく自分なりの基準も設けるのが重要
高配当という名の甘い蜜
株式投資を始めるきっかけの一つに「配当金がもらえるから」があります。
私自身「銀行にお金を預けてもほとんど増えないので、株を買ってみよう」と思ったのが株をはじめるきっかけの一つでした。
始めた当初は頻繁に売買するつもりはなく、銀行の利子よりはるかに良い配当金を受け取るつもりでいました。
高配当銘柄への投資失敗経験
株を始めた当初「出来るだけ配当利回りの高い銘柄を保有したい」と考えました。
そこで雑誌に掲載されていた「おすすめの高配当株」を企業の事をよく知らない状態で購入。
すると、その企業が業績悪化に伴い配当を減らしました。最終的には配当がなくなり、株価も下落。購入時の価格に戻ることはありませんでした。
減配が及ぼす将来への影響
どの企業にも当てはまりますが、配当を維持できるかどうかわからないです。
連続増配が続いていた企業の中にも2020年3月期、2021年3月期に業績が悪化し減配当・無配当とした企業は沢山あります。
中でも高配当銘柄は配当狙いで保有している人も多いため、配当が減れば売る人が増えて株価が下落します。
減配当はどの銘柄にも起こる可能性がありますが、高配当銘柄の方が減配による株価への影響が大きいです
理想的な話は現実的ではない
高配当の決まり文句の一例で「年間配当利回り5%の銘柄を20年保有すれば配当だけで元が取れる」があります。
理論的にはその通りです。しかし、20年間配当が維持できる保証は当然ありません。「20年減配無し+利回り5%近くの高配当」はかなり厳しい確率です。
リスクが低くて配当利回りが高ければ皆がその銘柄を買い、株価が上昇して配当利回りは下がります。「高配当利回り」は何かしら理由があると考えるのが自然です。
減配当・株価下落した高配当銘柄
ここ数年で実際に起きた高配当利回り銘柄を見てみます。
日本たばこ産業(JT)(2914)
下記はJTの週足株価チャートの推移です。

2017年12月末の株価は3,600円、年間配当は140円で利回りは約3.9%でした。
2018年12月期、2019年12月期と増配しましたが株価は下落し、利回りは5%を超えました。
配当利回りは以前から高いですが、株価は厳しい推移をしています。
東北電力(9506)の例

東北電力(9506)の2020年3月期の年間配当は40円。株価は1,000円台で保有することができ、利回りは約4%でした。
しかし、2022年3月期に35円に減配、2023年3月期は無配に転落し株価も大きく下落しています。
「減配で株価が下落」ではなく「減配前から株価が下落」していることが多いです。つまり、株価が下落した事で高配当利回りは注意が必要ということです。
将来の配当利回りを考える
雑誌やWEBサイトなどで見かける利回りは現在の株価に対する年間の配当利回りです、当たり前ですが。
例えば、株価が1,000円で年間配当金が50円の場合、配当利回りは5%です。配当金が20円に減配した場合は利回りが2%まで下がります。
高配当株式投資の考え方
「利回り5%なら20年で元が取れる」のような配当狙いで株を保有する場合、何年も保有するのが前提となります。
そのため、年々増配している、増配傾向にある企業の銘柄を保有することは「将来の高配当銘柄を保有する」と考えることが出来ます。
株価1,000円で年間配当20円でも数年後に50円が望めそうならば、「高配当銘柄」への投資と考えることができます。
無理をしていない・増配期待
将来高配当になる銘柄を探すのに参考になるのは「配当金の推移」、「配当方針と配当性向」、そして何より重要なのは「業績の推移と今後の見通し」です。
配当も投資の一部
私が保有している株の中にも高配当銘柄もあり、高配当銘柄を否定するわけではないです。
高配当銘柄の中には業績悪化で大きく減配していたが業績が回復して株価上昇、配当が回復した銘柄もあります。
株の基本とは
「高配当だから」という理由だけで株式銘柄を選ぶのはとても危険です。私も始めたばかりの頃に痛い目にあいました。
株式投資の基本は「将来成長するだろう」、「この会社を応援したい」です。
その次に、配当性向が極端に高くない、有利子負債が多くないなどの配当狙いとしての基準を組み合わせて判断するものだと考えています。