「貯蓄ではなく資産運用(株式投資)でお金を増やそう」と言うのを銀行・証券会社のみならず政治家なども薦めるのをよく聞きます。
今回は「貯蓄から投資は本当に正しいのか」、投資の基本となる株(株式)とはどういうものか、株の仕組みから投資のメリットとデメリットを見ていきます。
株(株式)とは何か、株の仕組みについて
投資と一言で言っても多くの物がありますが、一番基本線となる「株(株式)とは何か」、株式会社の始まりと仕組みを簡単に見ていきます。
株式とは
株式(かぶしき)とは、株式会社の構成員(社員=株主)としての地位(社員権)や権利のことである(通説)。
世界初の株式会社は1602年に設立されたオランダ東インド会社といわれている。
株式は会社に対する権利全体を均等に分けるとともに、多額の出資を行った者には複数の株式の所有を認めることで、権利関係の処理の簡便化と流通の利便を図り大規模な事業での資本の調達を可能にする点に特質がある。
株式 – Wikipediaより抜粋
簡単に言うと株式とは「会社がお金を集める手段」です。
会社の権利を株式という形に変換し、権利を分ける代わりにお金を集めます。株を買うというのは、会社の権利を保有することなので「会社は株主のもの」と言われる理由でもあります。
株式会社がはじまった理由
株のはじまりは諸説ありますが、17世紀の「東インド株式会社」が初めて株を発行したと言われています。当時のヨーロッパは大航海時代と呼ばれ、多くの探検家が海へ出ていき主に香辛料を持ち帰ることで大きな富を手に入れていました。
リスク分散
当時は船を造るのにたくさんのお金がかかりました。また、航海途中で遭難したり、海賊に襲われたりするなど、無事に帰れる保証もありませんでした。大金をかけて船を造っても何も持ち帰れなければ損をするだけです。
そこで、多くの人でお金を出し合い、失敗したときの1人当たりの損失をできるだけ減らし・利益を分配する方法として考えられたのが株と言われています。
現代では株式会社が会社の主流
会社にはさまざまな種類があります。合同会社、合資会社、合名会社、株式会社。新規では無理ですが有限会社などありますが、現代の大企業はほぼ「株式会社」です。
会社の事業内容に共感を得ることができれば多くのお金を集めることができ、会社を大きくすることができます。そのため大企業には自然と株式会社が多くなります。
株(株式)を保有するメリットとは
株を保有するメリットを見ていきます。証券会社を通して誰でも購入できる「上場している株」に限定しています。
保有を続けると手にできる配当(インカムゲイン)
会社が利益を上げたとき、株を保有している人に「配当金」と言う形で利益が分配されます。
日本の上場企業の場合、多くの企業が年に1回か2回、配当金を配ります。もちろん、会社それぞれで配当金額が異なりますし、事業がうまくいっていない場合や利益を設備投資などに充てる場合は配当金が無いこともあります。
株主優待もメリットの一つ
会社によっては「株主優待」を実施する会社もあります。これも立派な株を保有するメリットの一つです。
売却で利益を手にする(キャピタルゲイン)
もう一つのメリットは株を売ることで手にできる利益です。
株の値段は「ある投資家が買いたいと思う値段」と「別の投資家が売りたいと思う値段」の「需要と供給」によって成り立ちます。1,000円で買った株を1,500円で売った場合、差額の500円を利益として手にすることができます。
株価の変動
株の値段は会社の業績、将来性などから日々変動します。会社が大きく成長すれば、当然その会社の株が欲しいという人が増え、株価が上昇します。反対に、業績が悪く成長性が見込めない場合、欲しい人は少なくなり、株価は下落します。
株式に限らず、投資のメリットは「お金が増えるかもしれない」と言う点です。
株を保有するデメリットとは
株を保有するデメリットを見ていきます。当然ですが、メリットだけではなくデメリットもあります。
株価下落リスク
株価は上昇したり下落したりします。当然、自分の買った株が必ず値上がりするとは限りません。場合によっては、買った時よりも安い値段で売ることになります。1,000円で買った株を500円で売った場合、差額の500円が損失となります。
最悪は紙くずに
株価が下落するだけでなく会社が倒産してしまった場合、その株の価値は0円になることもあります。いわゆる紙くずになるというやつです。株を保有するデメリットはお金が減るかもしれない。という点です。
投資のデメリットは「お金が減るかもしれない」と言う点です。
貯蓄から投資は正しいのか?
近年では「貯蓄はお金が増えないので投資をしよう」と言うのを多く見かけます。
確かに、貯蓄では「現状」ほとんどお金が増えません。特にモノの値段が上がっている場合、相対的にお金の価値が下がるため、お金が減っているという見方もできます。
投資は必ずお金が増える訳ではない
株式投資に限らず「投資には全て必ずリスクがあります」、当然ですがお金が減る可能性があります。ノーリスクの投資は存在しません。また、投資は完全に自己責任で仮に損をしても国は補填してくれません。
証券会社や投資関連には必ずリスクの記載があります。「10年前から投資をしていたら」、「昔、この会社の株を購入していたら」というのを見ますが、後になって言うのは簡単です。
個別株?投資信託?
どんな企業でも株価下落の可能性があるから、投資信託を利用した方が良い。年金の積立金は多くの収益を得ているという話も見ますが、投資信託は複数あり結果が出ていないのもありますし、年金の積立金は個人では考えられない位の資産を運用しています。
セールストークでは都合のいい部分をアピールし、都合の悪い部分は極力隠します。
投資を薦める理由
銀行・証券会社が投資を薦める理由は明白で手数料収入が欲しいからです。「なぜすすめるのか」は冷静に見極める必要があります。スーパーでもオススメ商品は「お店側が売りたい」、「客寄せ」など必ず理由があります。
基本的な事
投資は非常に奥が深いものです。まだまだ書ききれないことがたくさんあります。重要なのは投資に関する知識をつけることです。知識をしっかり身に着けることでセールストークに流されることもなくなります。
「貯蓄から投資へ」は正しいのか、当たり前の回答ですが「人それぞれ」だと個人的には思います。しかし、「投資は絶対にしない」と考えていても、投資に関する知識は付けておいて損はないと考えています。
置かれている状況、考え方などが違うので貯蓄が良いか、投資が良いかは人それぞれ。また、どこに投資するかも自己責任。騙されないためにも投資に関する知識をつけることが重要