日本株は個人投資家だけでなく、投資機関や外国人投資家などさまざまなルートで売買されています。
今回は、日本株式を大きく分類し、それぞれの投資家が「投資対象(売買)とする銘柄は何か」について考えてみます。
- 投資家により、好んで売買する分類・銘柄は異なる
- あくまでも分類は一つの面であり、全てではない
- どの分類が正解と言うのは無い
株の分類
まずは様々な視点から「株の分類」を見ていきます。
株価に注目した分類
日本株には1株100円以下の銘柄もあれば、10,000円以上の銘柄もあります。
おおよそですが1株が10,000円近くの銘柄(1単元当たりの取引に100万円必要)を値嵩株(値がさ株)と呼び、1株が300円程度の銘柄を低位株、中でも100円以下の銘柄を超低位株と呼びます。
値嵩株の代表銘柄はファーストリテイリングや任天堂、東京エレクトロンなどです。
株価が高いのが値がさ株、安いのが低位株です。値がさ株が日経平均株価に組み込まれている場合、その銘柄の株価の動きが日経平均株価に強く影響します。
時価総額に注目した分類
時価総額(株価×発行株式数)に注目した場合、おおよそですが時価総額が3,000億円以上の大きい銘柄を大型株、時価総額の小さい銘柄を中小型株と呼びます。
大型株の代表銘柄はトヨタ自動車、ソフトバンクグループなどで多くが聞いたことのある企業です。
参考:大型株・中型株・小型株|大和アセットマネジメント株式会社
大型株は日本を代表する企業が多く、分析している専門家や投資機関が沢山あります。
景気に注目した分類
景気動向が業績に大きく影響する企業、景気動向に業績があまり左右されない企業があります。
景気に敏感に反応する銘柄のことを景気敏感株、逆に景気の影響を受けにくい銘柄のことをディフェンシブ株と呼びます。
例えば、食品・医薬品・電気・ガスなどの生活必需品をメインで扱う企業は景気の影響を受けにくいとされ、ディフェンシブ銘柄と呼ばれます。
表にまとめ
簡単に表にまとめると下記となります。
名称 | 意味 |
---|---|
値嵩株 | 株価が高い銘柄 |
低位株 | 株価が低い銘柄 |
大型株 | 時価総額が大きい銘柄 |
中小型株 | 時価総額が小さい銘柄 |
景気敏感株 | 景気に敏感に反応する銘柄 |
ディフェンシブ株 | 景気の影響を受けにくい銘柄 |
投資家の売買対象銘柄とは
次に、投資家が売買対象とする銘柄について考えてみます。あくまでも「傾向」です。
個人投資家が売買対象とする分類
個人投資家は単位未満株やミニ株などの特別な場合を除き、1株が高い値がさ株は手を出しにくいです。
そのため、個人投資家を重視する企業は、ある程度株価が上昇した際に売買しやすいように株式分割を行います。
また、アナリストや調査機関の多くが分析している大型株をメインに、あまり注目のされていない中小型株や低位株も個人投資家の対象となります。
個人投資家の多くが注目している銘柄は認知度が高い「大型株」ですが、あえて人気の高い銘柄を避ける個人投資家もいます。
機関投資家が売買対象とする分類
銀行や投資信託などの大口の投資家は資金が大量にあるため流動性の低い中小型株や低位株を売買することは少ないです。
主に流動性が高い大型株や日経平均への影響が大きい値嵩株を選びます。
もちろん、中には大型株よりも中小型株の方が比率が高い投資信託もあるため、あくまでも傾向です。
中小型株を対象にしている投資信託も資金が集まると投資先の選定が難しくなり、大型株の比率が高くなるケースがあります。
外国人投資家が売買対象とする分類
日本株の外国人投資家と言えば以前は北米・ヨーロッパの投資家が主流でした。しかし近年では中国の投資家も増えています。
日本市場の売買代金のうち約6割が外国人投資家のため、株価に与える影響は大きいです。外国人投資家の代表は投資機関、ヘッジファンドなどの大口投資家です。
そのため、こちらも大型株、値がさ株を売買対象として選択することが多いです。
最後に
株の分類は他にもテーマ株(注目株)や資産株という分類もあります。しかし、あくまでも分類は一つの面です。
分類と個別銘柄は別
大型株の中でも業績に大きな差があるように、中小型株も時価総額は低いが注目度の高い企業もあれば、注目度が小さく企業があります。
分類は同じですが置かれている状況は同じではないです。
情報量の違い
銘柄により、多くのアナリストが分析しているもの・あまり分析されないものなど手に入る情報量にも差が出ます。
株の分類はあくまでも一面ですが、それぞれ経済状況や市場の流れなどから影響を受ける大きさが異なります。
「日経平均株価が上昇しているが、自分の保有銘柄は上昇していない」このようなパターン、逆のパターンも当然あります。
注目されている銘柄を選ぶか、注目されていない銘柄を選ぶか。どちらが正しいというのは無いですが、自身が投資対象としている銘柄はどのような分類で、どのような影響を受けるのかを考えると、慌てず行動する材料となることもあります。