2022年3月から記録的な「円安、米ドル高」が進行していましたが、11月以降は大きく円高進行しています。今回は、為替の影響を受ける日本株式の銘柄とは何か、円高がメリットになる銘柄、デメリットになる銘柄を考えてみました。
円高・ドル安がメリットとなる銘柄
まずは円高進行でメリットとなる日本株式銘柄を考えてみます。
輸入企業はプラス影響
円高・ドル安は、原材料を輸入して国内で加工販売する食品や水産、商品を海外から調達する小売り銘柄は調達する金額が安くなるため、業績にプラス影響となります。
ほかにも原油・天然ガスなどを輸入している電力・空陸などの業界もプラスに影響します。(原材料自体の値段の影響も業績に大きく影響するので一概には言えないですが)
個人消費への影響
食品関係・電力など、輸入企業の多くは各家庭で消費する商品です。
そのため、円安ドル高が進行した場合は仕入れ価格が上昇し、商品価格の値上げにつながります。2022年は大きく円安進行した影響があり、多くの商品で価格が見直されました。
逆に円高進行となる場合、仕入れ価格が下落します。しかし、値上げした商品価格を下げるのは、上げるのと比べると慎重な印象を受けます。
円安・ドル高がメリットとなる銘柄
次に円安進行がメリットとなる日本株式銘柄を考えてみます。
輸出企業はプラス影響
為替が1米ドル100円から130円に円安ドル高となった場合、主に輸出関係の銘柄が恩恵を受けます。例えば1ドルの商品が海外で売れた場合、元々100円だったものが130円となります。
為替レートが想定より1円違うだけで年間数十億円影響を受ける会社もあります。
大企業は輸出企業が多い
自動車メーカーをはじめ、日本の大企業はアメリカだけでなく世界で事業を展開している輸出企業が多いです。そのため、「日本全体」として考えた場合、円安ドル高はプラスと考えられています。
銘柄による違い
銘柄による違いを細かく考えてみます。
全ての銘柄が当てはまるわけではない
円安・円高による利益上振れの期待はあくまでも「しっかりとした業績、競争力」を持っていることが前提となります。利益率が上昇しても、売り上げが落ち込めば利益は増えません。
食品業界の例
「味の素」は食品業界として有名ですが、グローバル企業なので円安になると海外の収益が増えます。しかし、調達コストが増加するので国内では厳しくなります。
「キッコーマン」もグローバル化しているため、単純に食品関係の銘柄全てが円高によるメリットがあるとは言えません。特に、食品関係は海外進出している大手企業も多く、海外比率が高まっています。為替の影響を気にする場合は、その会社の海外売上比率をしっかり確認する必要があります。
気を付けること
急激な円安が進行した影響もあり、大手メーカーはさまざまな商品の値上げを行い、消費の落ち込みが懸念されています。
個々の見極め
ブランド力のある商品の場合は多少値上げしても消費量はそこまで変わらないですが、同じような商品が他社でも生産されている場合、そちらに流れてしまう可能性もあります。
近年では安くて品質の良いPB商品(プライベート商品)が増えており、そちらに流れる可能性が想定されます。仮に価格が戻っても顧客が戻らない可能性もあります。
為替がどちらに動くかはわからない
長期的な為替の予想はものすごく難しいです(短期的な予想も難しいですが)。為替がどちらに動くか自信がある人は「円高メリット銘柄」、「円安メリット銘柄」のどちらかに保有銘柄を寄せることで大きな利益を得ることができます。
逆に為替の影響を考えたくない人は「円高メリット銘柄」と「円安メリット銘柄」に保有株を分散することで「為替によるリスク」を軽減することができます。